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内容説明
桜の花が愛でられてきたのはこの国だけでない。なのになぜ、桜は日本語圏で特別な存在なのか? 広く東アジアの時空を行き来しながら、その深き謎に迫る。桜の百科事典のようにも読める一冊。
日本語で「さくら」と呼ばれてきた花をとりあげ、それらがどう見られてきたか、どう語られてきたかに注目、桜と人々との関わりを探り、「日本の桜」の謎を解き明かす!
1万年以上の時間をたどり、東アジア全域の空間をめぐる知的冒険の旅。
品種名の由来、生態系での位置、詩歌での詠われ方、桃や梅などとの関わり……信頼性の高い知識を集めた「桜の百科事典」としても読むことができる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しばこ
11
「桜散る」この時に、桜についての壮大で奥深い『旅』に触れることができたのが良かった。はるか昔から山にあった桜が、今ではすっかり身近で観光の目的となって親しまれているなかで、ソメイヨシノが危機的状況なのが心配だけど。2025/04/15
ぷほは
6
岡本かの子に「桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命をかけてわが眺めたり」という歌があり、桜を眺めることはあっても「桜の側から眺める」ことをしたことが無かったので驚いた。本書はこの「桜の側から」東アジアの桜語りを眺める。別に桜それ自身になる訳ではなく、たとえば桜は「日本の花」として語られたり、韓国起源説なども語られたりするが、実際は化石などを調べると日本列島に人類がやってくる前から存在していた。そうした文明以前の永い歴史と東アジアの多様な花の比較を通して描かれる、桜の美しさへのまなざしの複屈折が示されていく。2025/03/29
rewktk
0
著者による壮大かつ興味深い桜論だった『桜が創った「日本」』(2005年)のアップデート版。前著では生物としての桜の生存戦略に、本書では桜とそれを見る人々を包括するシステムの方によりフォーカスしているように見える。年に1度「咲く花」として桜を眼差す文化のルーツに遊牧民を置くなど、大胆かつ興味深い仮説が提示されていて、流石に今回も面白い。2025/03/30