彼女を見守る

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彼女を見守る

  • ISBN:9784152104120

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内容説明

第一次大戦後、イタリア北西部にある村。貧しい家に生まれた、石工の弟子、ミモ。村の城館に住む侯爵家の娘でありながら自立を望むヴィオラ。出会うはずのなかった二人は惹かれ合い、時に反発し、両大戦間の激動の時代を生き抜いていく。
ゴンクール賞&日本の学生が選ぶゴンクール賞受賞作!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅう

74
石工見習いのミモと公爵令嬢のヴィオラは運命的な出会いを果たす。同じ年同じ月に産まれたふたりは互いを宇宙双生児と呼び合い、助け合う。ミモには彫刻家としての天賦の才があり、やがて頭角を現す。描かれている時代が二度の世界大戦の最中であり、ミモの才能もやがて政治に利用されていくのだが……。何の予備知識もなく読み始めたのだが、登場人物が皆魅力的で惹きつけられた。冒頭、ヴィオラの胸が平坦であることが再々強調されていたが、最後まで読むと、つながりに納得する。魅力的な一冊だった。2025/06/26

ヘラジカ

65
大傑作である。古典的で感情を揺さぶる豊かな物語に心酔したと言っても良い。最初の一頁読んだだけで読者を虜にして、最後の言葉まで連れていくほど魅力が溢れている。傑作ばかりのゴンクール賞受賞作のなかでも際立った作品だと思う。賞賛の言葉はいくら並べても足りないが、何よりも私を驚愕させたのは、この作家がかのホラー映画『less』の監督・脚本家だということ。誇張なしに度肝を抜かれた。あの最恐のカルト映画とこの高貴な長編小説を結びつけるのは不可能だ。ちょっと驚きすぎて何度「噓だろ?」と呟いたことか…。いやいや、嘘だろ?2025/03/13

キムチ

58
虚構の大河小説。訳が平明な割に、内容が重厚で読了にかなり時間を要した。20C 前半の伊、ムソリーニによるファシズムの黒雲が国を覆う。偉大なる芸術家と同じ名を持つ通称ミモが死を目前にして来し方を。生まれつき小人症である彼は天与の彫刻家としての才を持つ。北伊にある修道院で芸と魂の成長を遂げた後、貴族令嬢ヴィオラと別れローマ、ミラノ・・と転々の旅。作品を通じ、魂で繋がる令嬢とのやり取りは別離の連続。時代的に早く生まれた感もある令嬢を決して見捨てないと幾度も誓い続けつつ。ホラー映画の監督というキャリアには驚くが2025/06/06

pohcho

58
二十世紀のイタリア。親元を離れ、小さな村で石工見習いになった少年ミモ。彼はある日、村を支配する侯爵家の令嬢ヴィオラと運命の出会いを果たす。同じ年、同じ月に生まれた二人。生まれつき身体的ハンディを持つミモはやがて天才芸術家としてのし上がり、天才的知性を持つヴィオラは、時代の制約によって次第に追い詰められていく。落ちぶれて、一時はサーカスで見世物として働いたころもあるミモの、数奇で波乱万丈な人生に魅了されたけど、何より、女性であるがゆえに才能を発揮できず、苦しみもがき続けたヴィオラの姿が心に残る。2025/05/20

アイシャ

32
圧倒される物語。20世紀前半のイタリア。軟骨無形成症のミモは、彫刻の才能に恵まれているが、幼くして父を失い、母に石工の叔父に預けられる。その村で出会った同じ年の侯爵令嬢のヴィオラ。自由な精神を持ち、博学な彼女に惹きつけられるミモ。二人は宇宙双生児だとヴィオラは言う。障害を乗り越えてその才能の花を咲かせるミモに比べて、ヴィオラの人生は決して自由にならない。この物語はミモの成長物語であるとともに、この二人の信頼と愛の物語でもある。ミモが見守る彼女とは誰なのか。ファシズムが台頭するイタリアの村を舞台にした物語2025/07/11

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