内容説明
森のあらゆる生物が襲い来る!
植物の「魔の手」から
逃れられるか!?
人類の命運を託されたのは、
ワーママ研究者と、その息子
震撼のパニックサスペンス!
スタートアップ企業・グリーンプラネットに勤める村岡野乃は、植物の「会話(コミュニケーション)」について研究している。コマツナは虫にかじられると毒を合成したり、SOSを出して虫の天敵を呼び寄せたりするなど、植物もほかの生物と同様、驚くべき知性を持っていることがわかってきた。ある日、農場の視察に訪れた企業の社員が、改良された大豆を食べて緊急搬送される事件が発生。さらには、原因不明の山火事や、飢えて狂暴化した猿による襲撃、森を走る「謎の野人」の目撃情報など、奇怪な出来事が相次いでいた。野乃は一連の事件を「植物による反乱」ととらえ立ち向かおうとするが……?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
244
荻原 浩は、新作をコンスタントに読んでいるさいたま地元作家です。本書は、近未来SFバイオ・サスペンス警告の書でした。本書のような小説を読むと、植物が地球を支配している説を想い出します。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322311000884/2025/04/09
パトラッシュ
207
AIを使って植物の言葉を調べるプロジェクトに参加した科学者が、植物が人への怒りから反乱を企てる異常事態を察知する。実に面白い設定で期待して読んだが、読後感は「?」だった。植物が人を攻撃する異常事態の連続なのに、ヒロインは妙に楽し気で恐怖や緊迫感が感じられない。しかも植物が意志を持って行動を起こしたのかも描かれず進むので、小説として構造が弱い。自分なら植物の反乱で追い詰められた人類が、何とか植物との意思疎通に成功して生きる道を探るドラマに仕立てただろう。いわばプロローグ部分だけを物語化した意図がわからない。2025/05/12
しんたろー
141
荻原さん新作は、研究農場で働く野乃を主人公に植物が人類への反抗を始める様子を描いたSFサスペンス。全く知らなかった植物の特性や知性に驚く序盤で惹き込まれ、恐怖が加速してゆく中盤以降は野乃を応援しながら楽しめた。野乃の息子・一樹とのシーンには微笑ましさを織り込んでいるのが著者らしいし、単なる笑いにしないで後々の伏線になっている部分もあって、流石の職人芸と感じた。著者の作品群の中では同類の『楽園の真下』程には手に汗握る緊張感はないが充分満足できる面白さ。人間の傲慢さを反省し、自然の凄さを思い知る良作と思えた。2025/05/27
ウッディ
137
植物が防衛本能を活性化し、強い品種を作り、植物が心を言語化するスタートアップ企業の研究者の野乃は、森に異変が起こり始めていることを察知する。人間の都合で蹂躙されてきた植物たちは、自らを守るため、動物や昆虫を操り、人に牙をむく。植物パニック小説という初めての試みは、あまりリアリティがなかったような。意思を持つ植物やそれに操られた動物や人間という言うのが、闘ってよい相手なのかどうかも微妙で、400頁近い長編の割に、心に刺さるものがなく、ラストも中途半端だったような気がします。(辛口レビューでごめんなさい)2025/07/14
hiace9000
136
植物の反乱を描くー荻原編。植物たちのもつ驚くべき“知性”をもとに、地球上の支配者たる地位を取り戻さんとする知的生命体としての植物らの戦略的反逆をハリウッド映画ばりのスリルとスピードで描くエンタメ・ホラーである。植物の会話を研究する野乃は身の回りで起こる不可解な事件と植物との関連性に気づき戦慄する。植物たちの反乱に人間は立ち向かうことができるのか⁉︎ 伊坂さん、鈴木さん、そして荻原さんという一級作家陣が、奇しくも時を同じくして同系統の作品を世に放ったー、その事実もまた読後ゾワリと恐怖感を増幅させるのである。2025/08/07
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