内容説明
森のあらゆる生物が襲い来る!
植物の「魔の手」から
逃れられるか!?
人類の命運を託されたのは、
ワーママ研究者と、その息子
震撼のパニックサスペンス!
スタートアップ企業・グリーンプラネットに勤める村岡野乃は、植物の「会話(コミュニケーション)」について研究している。コマツナは虫にかじられると毒を合成したり、SOSを出して虫の天敵を呼び寄せたりするなど、植物もほかの生物と同様、驚くべき知性を持っていることがわかってきた。ある日、農場の視察に訪れた企業の社員が、改良された大豆を食べて緊急搬送される事件が発生。さらには、原因不明の山火事や、飢えて狂暴化した猿による襲撃、森を走る「謎の野人」の目撃情報など、奇怪な出来事が相次いでいた。野乃は一連の事件を「植物による反乱」ととらえ立ち向かおうとするが……?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
263
荻原 浩は、新作をコンスタントに読んでいるさいたま地元作家です。本書は、近未来SFバイオ・サスペンス警告の書でした。本書のような小説を読むと、植物が地球を支配している説を想い出します。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322311000884/2025/04/09
パトラッシュ
229
AIを使って植物の言葉を調べるプロジェクトに参加した科学者が、植物が人への怒りから反乱を企てる異常事態を察知する。実に面白い設定で期待して読んだが、読後感は「?」だった。植物が人を攻撃する異常事態の連続なのに、ヒロインは妙に楽し気で恐怖や緊迫感が感じられない。しかも植物が意志を持って行動を起こしたのかも描かれず進むので、小説として構造が弱い。自分なら植物の反乱で追い詰められた人類が、何とか植物との意思疎通に成功して生きる道を探るドラマに仕立てただろう。いわばプロローグ部分だけを物語化した意図がわからない。2025/05/12
しんたろー
146
荻原さん新作は、研究農場で働く野乃を主人公に植物が人類への反抗を始める様子を描いたSFサスペンス。全く知らなかった植物の特性や知性に驚く序盤で惹き込まれ、恐怖が加速してゆく中盤以降は野乃を応援しながら楽しめた。野乃の息子・一樹とのシーンには微笑ましさを織り込んでいるのが著者らしいし、単なる笑いにしないで後々の伏線になっている部分もあって、流石の職人芸と感じた。著者の作品群の中では同類の『楽園の真下』程には手に汗握る緊張感はないが充分満足できる面白さ。人間の傲慢さを反省し、自然の凄さを思い知る良作と思えた。2025/05/27
hiace9000
145
植物の反乱を描くー荻原編。植物たちのもつ驚くべき“知性”をもとに、地球上の支配者たる地位を取り戻さんとする知的生命体としての植物らの戦略的反逆をハリウッド映画ばりのスリルとスピードで描くエンタメ・ホラーである。植物の会話を研究する野乃は身の回りで起こる不可解な事件と植物との関連性に気づき戦慄する。植物たちの反乱に人間は立ち向かうことができるのか⁉︎ 伊坂さん、鈴木さん、そして荻原さんという一級作家陣が、奇しくも時を同じくして同系統の作品を世に放ったー、その事実もまた読後ゾワリと恐怖感を増幅させるのである。2025/08/07
ひさか
143
小説野性時代特別編集2023年冬号、2024年1月号〜11月12月合併号、特別編集2024年冬号掲載のものに加筆修正して、2025年2月角川書店刊。アイデアは、ややありがちなものの、ストレートなディザスターもの終末もの的な話で、ジエットコースター感もたっぷり。信用できないAIたちというのが登場するあたりも楽しくて興味深く、一気読みでした。2025/04/27




