岩波新書<br> ルポ 軍事優先社会 - 暮らしの中の「戦争準備」

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岩波新書
ルポ 軍事優先社会 - 暮らしの中の「戦争準備」

  • 著者名:吉田敏浩【著】
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 岩波書店(2025/02発売)
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  • ISBN:9784004320531

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内容説明

集団的自衛権の行使を容認した安倍政権以降,日本の軍事化が加速している.自衛隊のミサイル部隊の配備や弾薬庫の建設は地域を戦争の拠点へと変え,自治体による自衛隊への若者の名簿提供なども広がる.私たちの暮らしを犠牲に,戦争の準備が着々と進む実態を丹念な取材で明らかにし,対米従属の主体性なき安保政策を問う.

目次

はじめに
加速する米日軍事一体化と戦争準備
「安保三文書」と敵基地・敵国攻撃能力
軍事優先の国策と棄民政策
第1章 地域が戦争の拠点に――ミサイル基地・弾薬庫がもたらす棄民政策
ミサイル弾薬庫の増設と大軍拡
激増する弾薬整備費
他国攻撃が可能な長射程ミサイルを保管
南西諸島の自衛隊ミサイル部隊
住民も戦火に巻き込む軍事作戦
沖縄戦の歴史の教訓
国民保護という名の棄民政策
アメリカの戦争に日本が巻き込まれるリスク
自衛隊だけ生き残ろうとする基地の強靭化
有事の煽動と戦争準備
戦争体制の背後にある軍産学複合体の利益
対話と信頼醸成を通じて戦争を防ぐべき
第2章 徴兵制はよみがえるのか――自治体が自衛隊に若者名簿を提供
自衛隊から突然のダイレクトメール
大軍拡と自衛官募集の強化
自衛隊員が戦場に送られるおそれ
自衛隊への名簿提供違憲訴訟
プライバシー権を侵害する名簿提供
軍事優先の法的根拠の拡大解釈
戦前の徴兵制の兵事事務と似ている点
徴兵制の土台ともなりえる仕組み
「経済的徴兵制」を視野に対策
自治体を戦争体制に組み込む動き
兵事係の再来を許してはならない
軍事優先の国策への異議申し立て
第3章 軍事費の膨張と国民の負担――侵食される社会保障と生存権
武器輸出反対の声
「死の商人」国家への堕落
「死の商人」養成策を国策に
軍需産業への手厚い財政支援
ミサイル特需と軍需産業の利益拡大
防衛省設置の有識者会議に三菱重工会長が
膨れ上がる兵器ローン
財政民主主義に反する軍事費の特別扱い
軍事費が社会保障を圧迫
生活保護費の削減と生存権の侵害
いのちのとりで裁判
セーフティネットの大切さ
ミサイルかケアの充実か
第4章 主体性なき軍拡,主権なき「軍事大国」化――米戦略への歯止めなき従属
日米首脳会談と米日軍事一体化
軍事作戦で主導権を握る米軍
自衛隊が米軍の事実上の指揮下に
安保条約を曲解しアメリカの戦争に追随
米軍と自衛隊の連携の拡大
米日統合司令部と日米指揮権密約
アメリカが統帥権を握る
米軍優位の不平等な日米地位協定
米軍機による騒音公害を訴える裁判
米軍基地がもたらすPFAS汚染
基地への立ち入り調査を阻む地位協定と米軍の壁
住宅地に銃口を向ける米軍機
法的根拠のない低空飛行訓練
米軍の軍事的ニーズに合わせて
日米合同委員会の密室協議と密約
日米安保・同盟の冷厳な本質
第5章 対米従属の象徴・オスプレイ――危険な「欠陥機」を受け入れる唯一の国
オスプレイの墜落事故と飛行再開
米軍特殊部隊員を運ぶオスプレイ
危険なパラシュート降下訓練
アメリカの世界戦略に組み込まれた基地
オスプレイの超低空飛行を認めた日米合同委員会
佐賀空港へのオスプレイ配備
基地建設工事の差し止めを求める訴訟
住民を戦争に巻き込む空港の基地化
共有地としての権利無視の土地買収
有明海の海苔養殖への悪影響を危惧
矛盾する国側の主張
米軍による軍事利用への懸念
平和な環境と宝の海を未来の世代に
第6章 有事体制に組み込まれる自治体――空港・港湾の軍事利用にどう抗するか
大軍拡と空港・港湾の軍事利用
軍民両用と有事の部隊展開の狙い
「特定利用空港・港湾」の指定
軍事利用の既成事実づくり
住民の犠牲も織り込みずみの空港・港湾利用
下地島空港の軍事利用を認めない沖縄県
軍事利用を防ぐ「屋良覚書」
平時から戦時まで切れ目なく
米軍による空港・港湾の軍事利用
自治体は空港・港湾の軍事利用を拒否できる
自治体を国の下請け機関に――地方自治法改正の狙い
緊急事態条項の新設をもくろむ自民党改憲案
「再び戦争の惨禍」が起きないように
主要参考文献
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mc6ρ助

18
あ〜、「はじめに」だけでもお腹一杯、日本は「戦争をできる国」になっただけではなく、戦争をする国になっていたんだ。コクミンは賛成したつもりもないまま、ゼイキンは取られるは自宅は戦場になるは戦場に行かされるはゴルフ場を開墾してイモは作らされるはロクなもんじゃなさそうだ。社会保障に使うという消費税収から悪名高いトヨタさんたちへの戻し税額を差し引いた金額がちょうどGDPの2%(防衛費の目安・・)程度ってヨクデキテルヨネ。社会保障の財源はないと言いつつ、防衛費に国債発行とはアベノミクスに続いてMMTの実験だね?

くものすけ

14
太平洋戦争という大惨事でアジア全体で2000万人以上の恐るべき数の犠牲者を出し、日本はこれを反省し既に戦争を放棄した。しかしながら、戦後80年米国従属という足枷から抜け出る事が出来ず、米国に引きづられ、着々と戦争をする事が可能な国に変わろうとしているの現状ではないかと思います。これは戦争の悲惨さを知らない世代が、私も含め圧倒的に増えた事が影響していると思います。戦争準備を進めるよりは、戦争をしない努力にもっと軸足を置くべきではないかと思う。2025/05/05

ネコ

2
軍備増強のためなら、憲法や法律も蔑ろにする自民党政権。日本の軍備はアメリカの都合次第で、戦力の不保持、自衛隊の創設、集団的自衛権の行使容認、敵基地攻撃能力、米軍と自衛隊の一体運用等と。政権維持のためなら、日本をアメリカの属国にし、自衛隊を米軍に従属させることも厭わないのか。2025/05/06

Go Extreme

1
地域の軍事化:ミサイル基地 湯布院駐屯地 第二特科団 地対艦ミサイル 長射程ミサイル 軍事拠点 空港軍事利用 港湾軍事利用 防衛政策:防衛省 安保三文書 防衛予算 武器輸出 集団的自衛権 米軍一体化 自衛隊強化 経済的徴兵制 市民への影響:生活保護削減 社会保障圧迫 生存権侵害 健康被害 騒音 生活困窮 若者名簿提供 個人情報懸念 住民反応:抗議活動 住民説明会 市民の会 署名運動 法的手段 住民団体 反対運動 地方自治体の判断 対米従属:日米安保 地位協定 主権喪失 米軍戦略 軍事大国化 軍事的一体化2025/03/27

T

0
P7 日本社会はいま「ミサイルか、ケアの充実か」の選択を問われている。 P8 基地周辺の住民は日本国家によって見捨てられている、棄民にされている P83 他国の人びとが紛争・戦争によって死傷し、血を流すことを前提に利益を得る発想が、武器輸出の根底にはある。 P102 憲法の第九条と第二五条はいわば車の両輪で、平和と国民生活の安定を支えるものです。軍拡のために社会保障費を削るのではなく、逆に軍事費を削り、ミサイルよりケアの充実の道を選択すべきです P195 アメリカによる「占領」はまだ終わっていないのです2025/06/07

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