内容説明
伝説の少女が食べた「人魚」とは何だったのか?
ジュゴン、アザラシ・アシカ、リュウグウノツカイ……
人魚のモデルとされる動物の諸説を検証し、
「日本の人魚」の正体に迫る異色のノンフィクション!
太古の昔、若狭湾に臨む小浜(おばま)で人魚の肉を食べ、
永遠の若さを手にした少女がいたという。
彼女は尼となり日本各地を遊行して八〇〇年生き、
「八百比丘尼」(やおびくに)と呼ばれた。
彼女が食べた「人魚」とは一体何なのか?
飛鳥時代以来四十数件にのぼる人魚出現記録を、
現地取材と史料から精査し、「日本の人魚」の正体に迫る。
(プロローグより)
わたしは玉手箱を開けて老人になる浦島と、
人魚を食べて不老長寿になる八百比丘尼(やおびくに)伝説が
同じ若狭湾に伝わっていることを不思議に感じた。
そして不老長寿になった乙女が食べた人魚に興味を惹かれた。
西洋と東洋の人魚の歴史を解説した『[図説]人魚の文化史』は、
現在広く知られている欧米由来のマーメイド型人魚(人魚姫)とは異なる、
日本固有の人魚(怪物)が古くから存在したと記している。
八百比丘尼伝説を追跡することで日本の人魚の正体に迫ることができるのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
不純文學交遊録
6
ロビンソン・クルーソーや浦島太郎などの物語に隠されたリアルを求めて旅する探検家、髙橋大輔氏。今回は人魚の肉を食べて不老長寿を得たという八百比丘尼。伝説は若狭地方(福井県小浜市)をはじめ全国各地に点在し、室町時代の記録にも残る。人魚のモデルと考えられる生物はジュゴン、アシカやアザラシ、オオサンショウウオ、リュウグウノツカイ。比丘尼が食べた肉は何だったのか。謎解きの旅を通して見えてくる各地域の意外なつながりや伝説の相違点が興味深く、時を超えても変わらぬ人間の営みに感じ入る。2025/05/26
桜絵
4
日本における人魚伝説。調査の視点は、筆者の出身地である秋田県で発見された人魚らしきものが描かれている木簡だった。そこから全国に散らばる人魚伝説の正体を探っていく。 日本の伝説の屋台骨になるのはやはり、越前若狭の八百比丘尼伝説。八百比丘尼が食べたものって一体なんだろう。アシカ?山椒魚?リュウグウノツカイ?筆者が定めた3つの条件を軸にしているため、比較がしやすい。全国の伝説から浮かび上がってくる人魚の様子がだんだん分かるのがとても面白かった。人魚……魅力的な存在だ。どこかにいるのかも。日本海とか。2025/04/22
Go Extreme
3
伝説の背景: 八百比丘尼の父ー龍宮のようなから人魚の肉を持ち帰る 肉はジュゴンだった可能性 小浜と沖縄の交流が伝説の背景 伝説のモデル: 浦島太郎が実在した可能性あり・伝説と歴史的事実が関係 人魚のモデルージュゴン、アシカ、オオサンショウウオなど 八百比丘尼の伝説: 伝説の発祥ー地元の歴史や民俗の影響 粟嶋神社の伝承→地域の神話と結びつき 現代への影響: 伝説が現代の文化や文学に影響 地方文化として八百比丘尼の伝説が地域のアイデンティティ形成に貢献 伝説は歴史的背景を持ち地域文化や伝承と密接に関係2025/02/10
志村真幸
2
著者は探検家。 本書は、小浜の八百比丘尼を出発点として、人魚の正体を探りながら全国各地を訪ねた旅の記録だ。沖縄、琵琶湖、隠岐、秋田とまわって現地調査をおこない、また地元のひとたちを巻きこんでいく。 人魚の正体について、ジュゴン、ニホンアシカ、リュウグウノツカイ、オオサンショウウオなどの候補をひとつずつ検討し、さまざまな状況証拠から絞りこんでいく。 ただ、追求していく愉しさはわかるものの、全体としてどこか無理があり、牽強付会な印象の残る一冊だった。論としての粗さが気になる。2025/07/26
onepei
2
右往左往しているけど熱量はある2025/03/02
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