ちくま学芸文庫<br> 経済思想入門

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ちくま学芸文庫
経済思想入門

  • 著者名:松原隆一郎【著者】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2025/02発売)
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  • ISBN:9784480097071

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内容説明

驚異的な経済成長をもたらし豊かな社会を実現する一方で、格差を常態化し、深刻な不況をくり返す資本主義。その原因はどこにあるのか――。ヒュームやスミスにはじまり、マルクスそして新古典派の登場をへて、ケインズ、ハイエク、ヴェブレンまで。経済学の巨人たちは、自らが生きた時代の課題にとりくみ、その思想を形成した。本書は、そうした現実的背景に照らしながら、かれらの理論の核心を平明に説く。さらに後半では、貨幣や消費などの重要テーマごとに経済分析のあり方を問うことで、経済思想の今日的意義を浮き彫りにする。経済という人間の営みを根底からとらえなおす、決定版入門書。

目次

はしがき/第I部 経済思想の歴史/第1章 市場社会の成立/時代背景──国民国家と市場社会の成立/市場社会の「起源」をめぐる論争/重商主義/文明社会の形成/重農主義/第2章 古典派の成立──アダム・スミス/時代背景──重商主義の支配と産業資本家の勃興/労働と価値、富、分業そして市場/「自然的自由の体系」と重商主義批判/市場社会における同感と徳/第3章 古典派の展開──リカードとマルサス/時代背景──経済の停滞と階級対立の予感/人口論と賃金生存費説/差額地代論と蓄積論/マルサスによる批判と後世の評価/第4章 古典派の隘路──マルクス/時代背景──階級対立の激化と理想的体制の模索/疎外論、物象化論/剰余価値論/恐慌論と資本蓄積論/唯物史観とその批判/第5章 限界革命と新古典派/時代背景──イギリス自由主義の隆盛と帝国主義の始動/限界革命/新古典派/新古典派への評価/第6章 社会主義経済の可能性をめぐって/時代背景──覇権の交替と巨大組織による経済運営へ/ワルラスの社会主義/社会主義経済計算論争/社会主義の必然性? /第7章 資本主義の変貌──ケインズ/時代背景──株式会社の普及と不況の深刻化/ケインズ『一般理論』のアメリカ的解釈/IS LM図式の時代背景/二つの貨幣観とケインズの経済学/経済における投機の蔓延/第8章 消費社会化と市場自由化──市場の高度化と経済思想/時代背景──ケインズ主義の定着と解体、そして消費社会化とグローバライゼーションへ/市場重視への転換/大量消費社会の到来/第II部 経済思想の現在/第1章 方法について/経済思想と方法論/科学の方法と経済思想/「人々の信念」と経済学/経済思想の妥当性と学術集団の権威/第2章 制度について/市場と制度──新制度派/制度と信頼/制度のコンベンショナリズム/市場とは何か/生産要素の商品化と市場社会の誕生/第3章 貨幣について/通貨論争/貨幣の機能と実体/流動性と不況/貨幣と投機/第4章 消費について/消費における形式と経験/消費の社会性/消費の個人性/消費と時間性/第5章 企業について/取引コストと企業組織/利潤と創造的破壊/企業組織と経営環境/知識創造の場としての企業/投資と投機/第6章 市場と公正/自由と平等/新厚生経済学における公正/リベラリズムにおける公正/市場と公正/第7章 グローバライゼーションについて/スミスとグローバライゼーション/自由貿易の是非──リカードとリスト/企業のグローバライゼーション/国際金融のグローバライゼーション/国際経済機構とグローバライゼーション/第8章 経済思想のゆくえ/構造改革と消費不況/欲望拡大の軌跡/経済学における相関的思想の再興へ/註/参考文献/ちくま学芸文庫版あとがき/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

41
2001年初出。市場社会の起源をめぐる論争は、商品の生産と自由な売買を促進する精神的な動機付けに関するもの(024頁)。ケネーの経済表で、不妊階級は違和感あり。不妊階級は商人や製造業者という(037頁)。製造業者は生産階級ではないのか? 18C仏らしいが。アダム・スミスにとっての自然とは、是認―共感―徳というつながり(055頁)。スミスの時代も、今も、結局、生産性の向上の問題(065頁)。日本人は生産性が低すぎる。J・S・ミルの時代、労働者の自主性と創造性が問われていた(081頁)。2016/05/12

masabi

17
経済学説史と経済思想の解説の二部構成からなる。理論的な整合性と現実に裏打ちされた経験とを両立させることがいかに困難か、ということをひしひしと感じる。新古典派経済学が現実を上手く分析できていないのにも関わらず、影響力を残しているのか疑問に思った。2016/04/08

Ex libris 毒餃子

7
各思想家の紹介したのち、経済学の取り扱う諸問題について解説した本。経済思想入門としては分かりやすくベストな気がします。2018/10/19

4
前半部は経済思想史、後半部はトピックごとの概説。各思想家の時代背景が紹介されており、彼らがいかに当時の状況に合わせて理論を立てていったかがわかる。「合理的な経済人」「長期的には需給は均衡する」「市場の動きはすべて定式化できる」といった狭い経済学の見方を批判し、多様な人間のあり方に寄り添い、学際的な視点を持った「相関社会科学」が提唱されている。 あと、マンガ『バキ』の86話に「協力:松原隆一郎」て書いてたんだけど、なんで???2021/01/26

akiakki

3
前半は経済思想史、後半は7つの要素から経済思想を分析する2部構成。そもそも経済学は市場社会を概念化するもので、検証から法則を導く(導ける)自然科学にはなり得ないとのこと。なるほど「市場は本質的に均質。信頼が成り立つなら制度の方が低コスト」という概念は入場チケット制を導入して一気に沈静化した前回の冬コミ(=信頼のコストが市場のコストを上回っていた)をよく表してる。2022/04/12

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