内容説明
驚異的な経済成長をもたらし豊かな社会を実現する一方で、格差を常態化し、深刻な不況をくり返す資本主義。その原因はどこにあるのか――。ヒュームやスミスにはじまり、マルクスそして新古典派の登場をへて、ケインズ、ハイエク、ヴェブレンまで。経済学の巨人たちは、自らが生きた時代の課題にとりくみ、その思想を形成した。本書は、そうした現実的背景に照らしながら、かれらの理論の核心を平明に説く。さらに後半では、貨幣や消費などの重要テーマごとに経済分析のあり方を問うことで、経済思想の今日的意義を浮き彫りにする。経済という人間の営みを根底からとらえなおす、決定版入門書。
目次
はしがき/第I部 経済思想の歴史/第1章 市場社会の成立/時代背景──国民国家と市場社会の成立/市場社会の「起源」をめぐる論争/重商主義/文明社会の形成/重農主義/第2章 古典派の成立──アダム・スミス/時代背景──重商主義の支配と産業資本家の勃興/労働と価値、富、分業そして市場/「自然的自由の体系」と重商主義批判/市場社会における同感と徳/第3章 古典派の展開──リカードとマルサス/時代背景──経済の停滞と階級対立の予感/人口論と賃金生存費説/差額地代論と蓄積論/マルサスによる批判と後世の評価/第4章 古典派の隘路──マルクス/時代背景──階級対立の激化と理想的体制の模索/疎外論、物象化論/剰余価値論/恐慌論と資本蓄積論/唯物史観とその批判/第5章 限界革命と新古典派/時代背景──イギリス自由主義の隆盛と帝国主義の始動/限界革命/新古典派/新古典派への評価/第6章 社会主義経済の可能性をめぐって/時代背景──覇権の交替と巨大組織による経済運営へ/ワルラスの社会主義/社会主義経済計算論争/社会主義の必然性? /第7章 資本主義の変貌──ケインズ/時代背景──株式会社の普及と不況の深刻化/ケインズ『一般理論』のアメリカ的解釈/IS LM図式の時代背景/二つの貨幣観とケインズの経済学/経済における投機の蔓延/第8章 消費社会化と市場自由化──市場の高度化と経済思想/時代背景──ケインズ主義の定着と解体、そして消費社会化とグローバライゼーションへ/市場重視への転換/大量消費社会の到来/第II部 経済思想の現在/第1章 方法について/経済思想と方法論/科学の方法と経済思想/「人々の信念」と経済学/経済思想の妥当性と学術集団の権威/第2章 制度について/市場と制度──新制度派/制度と信頼/制度のコンベンショナリズム/市場とは何か/生産要素の商品化と市場社会の誕生/第3章 貨幣について/通貨論争/貨幣の機能と実体/流動性と不況/貨幣と投機/第4章 消費について/消費における形式と経験/消費の社会性/消費の個人性/消費と時間性/第5章 企業について/取引コストと企業組織/利潤と創造的破壊/企業組織と経営環境/知識創造の場としての企業/投資と投機/第6章 市場と公正/自由と平等/新厚生経済学における公正/リベラリズムにおける公正/市場と公正/第7章 グローバライゼーションについて/スミスとグローバライゼーション/自由貿易の是非──リカードとリスト/企業のグローバライゼーション/国際金融のグローバライゼーション/国際経済機構とグローバライゼーション/第8章 経済思想のゆくえ/構造改革と消費不況/欲望拡大の軌跡/経済学における相関的思想の再興へ/註/参考文献/ちくま学芸文庫版あとがき/索引
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