筑摩選書<br> 国連入門 ――理念と現場からみる平和と安全

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筑摩選書
国連入門 ――理念と現場からみる平和と安全

  • ISBN:9784480018168

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内容説明

ウクライナ侵攻とガザ情勢の悪化以降、国連は機能不全に陥っている。国連は現在どうなっているのか。冷静沈着に国連の役割と限界を見据え、いま何ができるかを考えることが重要である。外交官として国連日本代表部に二度勤務した著者と、長年にわたり国連の理論的研究に携わってきた著者の二人が、現場での実務経験を縦糸に、研究者の体系的な理解と分析を横糸にして、国連の実像に迫る。初学者にも、学びなおす人にも、最先端の情勢と研究を知るために有益な画期的入門書。

目次

はじめに/序章 国連の現在──機能不全のなかで/終わりの見えない二つの“戦争”/問われる国連の存在意義/「国連」とは/「平和」とは/本書の問題意識/第1章 国連誕生──歴史を振り返る/第二次世界大戦の教訓と国連の誕生/ダンバートン・オークス会議からサンフランシスコ会議へ/機構構想をめぐる対立の萌芽/国際連盟の教訓と国連の目指すもの/国際社会の成立と国際機構/国際社会の組織化の変遷/国際機構誕生の法則/主権国家の制御とカントの平和構想/ヨーロッパ協調とハーグ会議/国際連盟はなぜ第二次大戦を防げなかったのか/第2章 国連の描く平和と安全保障構想/戦後の世界秩序構想としての国連/武力行使の禁止と集団安全保障/安保理の拒否権とは何か/冷戦のはじまりと国連に落とした影/安保理の機能麻痺と「平和のための結集決議」/冷戦期の安保理の動き/スエズ紛争とPKOの誕生/植民地の独立と総会の台頭/国連事務総長とICJの役割/冷戦後の安保理と問われる平和のかたち/民族紛争の頻発と変化するPKO/人道的介入と保護する責任/人権の主流化/第3章 国連の現場から(1)──冷戦崩壊後、一九九二~一九九五年/冷戦の崩壊と国連/平和への課題/安全保障理事会とはどういう所/国連代表部の一日/ソマリアへの介入/ルワンダ大虐殺/自衛隊派遣/モザンビークPKOへ/第6委員会とは/「国連要員安全条約」の制定へ/ローマ規程から国際刑事裁判所の創設/第4章 国連の現場から(2)──9・11後、二〇〇一~二〇〇三年/9・11に遭遇/大島賢三事務次長の奮闘/人間の安全保障と人道的介入/イラク侵攻に備える/国連と人権/人権決議の採択を主導する/クメール・ルージュ裁判/舞台はニューヨークへ/いよいよ決議案採択へ/国連の選挙とは/第5章 北朝鮮の核・ミサイル開発と国連/日本の終戦と朝鮮の解放/冷戦から熱戦へ・民族同士の殺戮/朝鮮問題と国連、そして南北国連同時加盟へ/第一次核危機・国連安保理の最前線で/苦難の行軍と国連による人道支援/核・ミサイル開発と制裁、負のスパイラルへ/制裁の効果と限界/国連事務総長の役割/ロシアと北朝鮮の急接近、制裁は崩壊するのか? /第6章 ミャンマーと国連──クーデター以降/クーデター発生/ASEANの取り組み──議長国ブルネイで奔走する/ASEAN特使の任命とエルワン特使の苦悩/安保理と総会の行動/国連特使の努力/人道危機と国連の支援活動/対立が激化する現場/打開が見いだせない国際社会、国連の役割は? /第7章 国連改革の行方/国連改革と安保理改革/改革論議の経緯/安保理の何が問題なのか/安保理改革の具体案/ウクライナ戦争の経緯と国連の対応/イスラエル・ガザ紛争の経緯と国連の対応/総会による説明責任の試み/分かれる国連観/世界政府か国連か──カントの平和構想/第8章 国連の課題と未来への展望──改革の三つの方向性/『平和への課題』と平和構築/アナン報告と平和構築委員会/国連の民主化とNGO・市民社会の参画/国連のパートナーシップ/機能不全の本質/戦争の実相と包括的な平和への取り組み/人間の安全保障/SDGs、そしてグテーレス事務総長の呼びかけ/よりよき世界への処方箋と私たちの役割/終章 国連改革に向けて日本に求められるもの/待ったなしの安保理改革/現実的目標設定の必要性/拒否権をどう抑制するか/おわりに/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ベンアル

10
図書館本。外交官の著者と国連研究の著者の合作。国連誕生から始まり、911テロ、北朝鮮、ミャンマー、ロシアウクライナ戦争と掘り下げて行く。常任理事国による拒否権による国連の機能不全が問題となり、新たに常任理事国や準常任理事国の増設や拒否権の見直しの動きがあるが、利害問題の関係で上手くいってない様子が伺えた。2025/04/16

スプリント

9
著者は外交官として国連日本代表部に勤務した経歴の持ち主。 国連の成り立ちから組織について詳しく解説してありわかりやすい。 国連設立の経緯もあるがもはや組織不良を起こしているといえる。重要な事項は常任理事国の利害関係が優先されている。2025/04/13

お抹茶

4
国連による安全保障構想の他,クメール・ルージュ裁判や核問題やミャンマー問題などの外交官による舞台裏を記す。アナキカルな国際社会で国際秩序を創り維持していくものとして国際機構が生まれた。冷戦終結後,国連は当初想定した国家間紛争ではない内戦やテロや人道問題も平和に対する脅威と認定するようになり,平和の概念が広がった。国連での決議案採択や選挙ではその国の外交の力がものを言う。集団安全保障体制は安保理による大国不可罰の個別主義的な体制であるという限界が露呈しつつも,平和,開発,人権の包括的達成は一層重要である。2025/02/25

Go Extreme

3
国連の現状と課題:機能不全 安全保障理事会 拒否権問題 国際紛争対応 国際協力の限界 国連改革 国連の歴史と理念:第二次世界大戦 国際連盟 国連憲章 平和維持 人権保障 経済協力 自決権 平和と安全保障:PKO(平和維持活動) 人道的介入 集団安全保障 非対称戦争 軍縮と核問題 紛争解決 国連の改革と未来:安保理改革 総会の強化 拒否権制限 新興国の役割 国際法の整備 人間の安全保障 国際社会の課題:ウクライナ戦争 北朝鮮の核問題 気候変動 国際難民問題 持続可能な開発 SDGs2025/03/06

Dwight

2
国連誕生の経緯、理念、組織構成、活動の歴史などを我々はもっと知らなきゃならないね。「現在の国連は機能していない。」の一言で済ませずに、国連改革を推し進めよう。2025/04/26

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