ちくま学芸文庫<br> 悪文の構造 ――機能的な文章とは

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ちくま学芸文庫
悪文の構造 ――機能的な文章とは

  • 著者名:千早耿一郎【著者】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 筑摩書房(2025/02発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480512635

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内容説明

文章を書くコツは芸術的な名文を書くことではない。読みにくい「悪文」を書かないことである。では悪文はどのようにすれば防げるのか。本書は日本語文の構造的特徴を分析したうえで、書物・新聞・公的文書などから100を超える実例を取り上げ、「機能的な文章」へと洗練させる技法を紹介する。長文を避ける、結論を先に述べる、必要な主語を省略しない、接続詞を濫用しない、やさしい言葉を使う……。読み手に寄り添った明快な指針とわかりやすい図解で悪文克服への道を示す本書は、時代を超えて通用する文章技術書である。

目次

I/1、機能的な文章とは/文章のもつ二つの働き/工学的に考える/小さな体験から/2、日本語文の構造/入子型構造論/日本語文は枝状である/日本語文は非論理的か/II/3、長文は悪文/親切な文章とは/長文は悪文である/“時間がないので長くなった”/4、短いことはいいことだ/落とし穴を掘るな/焦燥を感じさせるもの/結論を先に/5、なにが主格か/主格が分からない/主格の混乱/必要な主語をサボるな/6、述語は基幹である/述語を探せ/述語は幹/述語はしめくくり/7、なにを修飾するか/曖昧な修飾/バラの花はバラの木に/相手が分からない/8、「は」のイキは長い/“象は鼻が長い”/「は」の効用/「は」と「が」と/「は」のイキは長い/9、合流点はどこか──並列語の盲点(1)──/即成健忘症/“貴様と俺とは”/「や」と「か」と/“見たり聞いたり試したり”/10、左右均衡の論理──並列語の盲点(2)──/さまざまな並列/しり切れトンボ/“花は紅 柳は緑”/11、無責任な仲人──接続の論理──/接着剤の効果/接続の魔術/「しかし」の周辺/12、この漠然たるもの──「が」を濫用するな──/「が」はくせもの/「が」の重複/13、切れ目を示せ──読者のための句読点──/“ふたえにおりてくびにかける”/大きな切れ目と小さな切れ目と/さまざまな工夫/14、正しく伝える努力/ひとりよがりの罪/より親切な表現/正確なイメージ/15、曖昧な表現/否定か肯定か/先かあとか/おまえはだれか/数字を大切に/16、表現の過不足/“馬から落ちて落馬して”/舌っ足らずの表現/17、文と人間/やさしい言葉で/だれのための法律文か/敬語の合理性/III/18、文章のリズム/リズムとはなにか/リズムを支えるもの/ふたたび“短いことはいいことだ”/19、機能的なものこそ美しい/“機能的なものこそ美しい”/詩の言葉/あとがき/解説 「悪文」に名著が多い理由(石黒圭)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あらたん

58
実践的なとても良い本だった。悪文を指摘するだけでなく実際に直して見せてくれるのが良い。文章の機能には「伝達」と「感化」の二つがあるが、まずは「伝達」を重視すべきである。全員が名文を書くことはできないが、悪文を書かないことはだれでもできる。確かにそのとおりだと思った。悪文を書かない「技術」を身につけることが重要ですね。2024/12/24

ハルト

11
読了:◎ わかりやすい文章指南書だった。名文を書くではなく、どうやったら悪文を書かないで済むのかの一点に集中して書かれている。悪文でない文章とは機能的で規則的な、シンプルイズベストのような文章を云う。ではいったい、どういった文章が悪文なのかを実例を出しながら図化し解説していくが、その中には名作と名高い作品だったりが多数含まれている。それらを噛み砕いて図化してみると、文章の欠点が見えてくる。改変によってこうまですんなり頭に入ってきやすい文章になるのかと驚く。参考になった文章読本だった。2025/01/03

maimai

10
いやいや面白い。これでもかというくらい、あとからあとから出てくる「悪文」。大手の新聞などのメディアはもちろん、名だたる作家たちでさえ、ときには意味の通りにくい(あるいは意味の解らない)文を作っていることに驚いたし、日ごろテレビを見ては、アナウンサーの言葉遣いやニュースの原稿などに文句をつけて、妻にうるさがられている僕には痛快でもあった。「悪文」を書かないためにはどうすればよいかについての、具体的でわかりやすい解説書。日本語文法についての鋭い考察に唸らされることもしばしば。2025/06/27

Cinita

10
実際の出版物から引用した多数の「悪文」を例に挙げて、文章を短くする・適切な句読点を打つ・記号や箇条書きを使って内容を整理する・並列でつなげる語句は品詞や長さを揃える……といった「悪文を書かないための技術」を解説した一冊。めちゃくちゃ面白かった! この例文はなぜ意味が取りにくいのか、どこを直せば改善されるのかをキッチリ明快に分析・解説してくれて気持ちがいいし、容赦ないツッコミが痛快で本当に面白い。今後、読メ感想やブログを書く際にも大いに役立ちそうです。しかし、世に出回ってる文章って案外適当なんだなあ……2025/06/07

悠木

10
かなり古い本だが、現代でも十分通用する良書。文章の役割には、感化の働きと伝達の働きがある。本書は、後者に重点を置き、意味が一意に定まる文の構造を悪例を示しそれを添削することで解説する。文豪の文章も容赦なく添削するところが面白い。上達の近道は、駄目な例を見ること、そうすると少なくとも駄目なものを避けられるとよく分かった。多少なりとも文書を扱う人は読むべき。自分も折に触れて読み返したい。2025/01/26

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