内容説明
日々のなかで当たり前のように行き来する駅という場所は、なんでもない日も旅立ちの日も、変わらずそこで私たちを迎えてくれます。旅の始まりと終わりをいつも見届けてくれて、行く場所であり帰る場所となる、駅とは不思議な存在です。浜松、西宮、札幌、唐津、明洞、ポルト──六つの都市へ向かう列車で、あるいは辿り着いた先で、どのような景色が待っているでしょうか。新しい物語への切符は今、あなたの手のなかにあります。六人の作家、六つの駅が旅の非日常へと誘う、文庫オリジナル・アンソロジー。/【目次】砂村かいり「きみは湖」/朝倉宏景「そこに、私はいなかった。」/君嶋彼方「雪花の下」/松崎有理「東京駅、残すべし」/額賀澪「明洞発3時20分、僕は君に撃たれる」/鳥山まこと「辿る街の青い模様」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
90
駅と旅がテーマの6人の作家さんのアンソロジー、「そこに私はいなかった」野球部のエースの彼のため吹奏楽部の私は新幹線で甲子園に行くはずだったが台風の為の遅延で間に合わなかった、関東からは新幹線で移動の為そういう事も起こりうるんだ、「明洞発3時20分、僕は君に撃たれる」不倫で炎上した俳優とアイドルそして暴露した記者が韓国で偶然会い記者は二人の後を追う、不倫騒動では何故か女性がバッシングを受け仕事復帰も遅れるのは何故なんだろう、この2冊が印象に残った。2025/09/01
nemuro
64
コロナ禍後、随分とご無沙汰な列車旅。先日乗車のJR富良野線「富良野~旭川」往復が半年ぶり。タイトルと早川世詩男氏のカバーイラストが気になり購入。6人の作家、6つの駅が旅の非日常へ誘う文庫オリジナル・アンソロジー。①「きみは湖」(砂村かいり)、②「そこに、私はいなかった」(朝倉宏景)、③「雪花の下」(君嶋彼方)、④「東京駅、残すべき」(松崎有理)、⑤「明洞発3時20分、僕は君に撃たれる」(額賀澪)、⑥「辿る街の青い模様」(鳥山まこと)。①③⑥は初遭遇の作家。うむっ悪くない。本書にて創元文芸文庫の創刊を知る。2025/10/30
アーちゃん
50
2025年発行。初出『紙魚の手帖』四編&書下ろし二編。砂村かいり「きみは湖」は再読。面白かったのは気が合わない義姉と東京から北海道へ出て行った夫と子供達に会いに行く君嶋彼方「雪花の下」、東京駅がロボットとなり、小学生二人を乗せてドーナツ状の”もののけ”を調伏する松崎有理の書下ろし「東京駅、残すべし」。砂村さんと君嶋さんは立場こそ違え、女性二人が一緒に行動する形で、主人公と行動を共にするのが片やテンポの良い女性、片や鈍くさい女性と違いはあれど、どちらも会話が上手くて面白かった。2025/10/29
もぐもぐ
50
タイトルどおり旅や駅が絡んだ人生模様のアンソロジー6編。砂村かいりさん、君嶋彼方さん、額賀澪さん目当てで手に取った。三作品とも面白かったけど、初読みだった朝倉宏景さんの、甲子園に出場する彼氏の応援に台風で行けなかった吹奏楽部の女の子の『そこに私はいなかった』が一番好き。どれもちょっと前向きな終わり方で気持ちよかったです。2025/09/30
minami
38
旅に出たくなるアンソロジー。最近推しの砂村作品に惹かれて読んでみる。6編のうち前半はシスターフッドの物語に応援したい気持ちが溢れ、結末もとても清々しかった。駅と旅のタイトルどおりにどちらも重要なアイテムで、私はどの物語も好みだった。旅に出て自分自身を振り返る。日常ではない場所で非日常を味わうのは新鮮な気持ちになる。頭の中にモヤモヤするものがあったとしても、それがちっぽけなものに感じることだってある。初読みの鳥山作品が好みだったので、他作品も読んでみたい。とにかく旅に出てリフレッシュしたくなる楽しい読後感。2025/07/13
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