創元推理文庫<br> 金環日蝕

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創元推理文庫
金環日蝕

  • 著者名:阿部暁子【著】
  • 価格 ¥950(本体¥864)
  • 東京創元社(2025/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488444211

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内容説明

知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人捜しをしようとするが、錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むことに。かくして大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだったが──いったい春風は何に巻き込まれたのか? 『パラ・スター』『カフネ』の俊英が、〈犯罪と私たち〉を切実に描き上げた、いま読まれるべき傑作長編。/解説=瀧井朝世

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

タイ子

94
「カフネ」しか読んだことがない阿部作品だがミステリも面白い。大学生の春風は老女がひったくりに遭う瞬間を目にする。偶然その場にいた高校生の錬と追いかけるも犯人を取り逃がしてしまう。犯人がその場に落とした証拠品を目途に2人の犯人探しが始まる。若者コンビの探偵きどりものから一転、もう一人登場するのが大学生の理緒という女性。ここから作品は不穏な空気を纏い始め、物語全体に社会悪を覗かせていく。胸に抱える不安や忘れがたい過去と闘いながら生きている彼らが意外な繋がりを見せながら理不尽さと向き合う姿が頼もしい。2025/05/18

名古屋ケムンパス

69
「自分の利益のためなら人に嘘をついたり人を騙しても良いと考えている人」は必ず存在します。残念ながら、その心の闇は程度の差こそあれ、どの人の心にも潜んでいそうです。でも、著者は本書でこう語るのです。「人を害する能力を持っていながらそうはせず、嘘をつく能力を持ちながら真実を語り、他者を押しのけてでも欲望を果たそうとする自分を戒める人々の祈りが、なんとか今日も世界を成り立たせている」…危うさを抱えた人の世を生きるには相当の覚悟が必要ですね。2025/05/17

Shun

33
最近話題の作家・阿部暁子さんのミステリ作品。本作以前から認知していた作家でしたがライト文芸な作風はあまり興味を持てず、本作を読んで認識を改めました。もともとミステリを書く作家では無かったようですが、読んでみると驚くほど面白い作品でした。大学生の春風が知人の老女が偶然ひったくりに遭う場面に遭遇し思わず追跡、犯人は逃してしまうが一緒に追ってくれた男子高校生との奇縁で探偵の真似事を始めることに。犯罪に加担してしまう者の境遇と心理がしっかりと描かれ、ミステリとしての伏線にどんでん返しが読み応えあり引き込まれる。2025/04/03

あきら

30
ライトな会話で重たい話が繰り広げられる。 犯罪はそれこそ身近にあり、日常の会話に滑り込んでいることに恐怖を感じました。 自分も自分の周りの人達も被害者にも加害者にもならないなんて保証はなく、どちらの側にもなりうるんだろうなあと読みながら考えてました。 面白かったです。 2025/04/30

よっち

28
知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした女子大生の春風。犯人の落とし物に心当たりがあった彼女が、居合わせた高校生の錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むミステリ。H大で心理学を学ぶ春風と高校生の錬が進める犯人が落としたストラップの持ち主探し。母子家庭で妹を案じる高校生・莉緒とカガヤの出会い。いくつかの視点から綴られてゆくストーリーは、思わぬ形で繋がって驚かされましたけど、優しい心の持ち主でも追い詰められていけば歪んでしまうこともあるんですよね。けれど著者さんらしい優しい結末には救われる思いでした。2025/03/19

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