内容説明
真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。ターン。いつかは帰れるの? それともこのまま……だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。(解説・川上弘美)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
243
今見ているのは現実か?それとも【一炊の夢】なのか?「時と人」三部作のひとつを再読。事故をきっかけに版画家の真希が一日を繰り返す。しかもその世界は自分しかいない。SFによくあるループものだが、設定に頼るのではなく孤独と人とのつながりを描けるのが北村の凄さ。二回の転機も構成が巧い。再読でも興味深く読めた。解説は川上弘美。北村について急がず、二人称について述べている。主人公の会話については「私をくいとめて」(綿矢りさ)を、繰り返す一日は「宵山万華鏡」(森見登美彦)を思い出した。2019/04/10
とも
180
読み始めは、読み難い文章やなぁとイライラするも、読み進めるうちに物語の構成の面白さに没頭。参った。指折りの傑作。
mura_ユル活動
156
スキップに次いで、ターン。1日を繰り返す。未来も過去もリセットされる。時間が『くるりん』する。電話が鳴った時、一番「ハッ」となった。現実の世界の泉洋平、あちらの世界に行ってしまった森真希。スキップと同じように軽快でぐんぐん引き込まれる文章。あちらの世界は、いわゆる三途の川のようで、裁断が下されるまで待っていて、善い行い悪い行いで到達する場所が異なる。電話は相手の声が聞こえるからメールよりはイメージつきますね。最後はじわっときました。リセットも読んでみたい。2014/07/05
ちょろこ
143
今だからこそ心に沁みた、一冊。どんな一日を過ごしても定刻がくると一日前に戻ってしまう、そして永遠にひとりぼっちの世界を繰り返すという物語。単調な毎日に心の疲れも蓄積され、孤独な世界が欲しいなんて思っていた自分にはこの物語に頭をコツンとされた気分。静寂と孤独、主人公の心の機微はもちろん、何をすべきか…徐々に心が起き上がっていくような過程は何度も胸を打った。人は完全な孤独では生きていけない。何かと誰かと繋がっていることの有り難さを改めて噛み締める。今だからこそ、この物語の世界、数々の言葉、思いが心に沁みた。2020/05/06
ダイ@2019.11.2~一時休止
143
時と人その2。独特な世界に一人で閉じ込められたお話。ラストが唐突すぎてよくわからなかったが、設定含めて非常に良く出来ていて面白かった2014/07/17
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