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内容説明
1966(昭和41)年、日本の出生数が統計史上最低を記録した。原因となったのは迷信。60年に1度めぐってくる干支、丙午(ひのえうま)にまつわる俗言のためだった。高度経済成長の只中、たった1年、なぜ迷信がそこまでの出生減をもたらしたのか? 昭和のひのえうま生まれの計量社会学者が、迷信の成立した江戸期にまでさかのぼり、拡散・浸透のタイムラインをつぶさに追いながら、日本でだけ生じた特異な「社会現象」を読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
142
迷信など気にしないので、ひのえうま生まれが人口ピラミッドに影響するほど忌避されていたとは知らなかった。江戸時代にも俗信で人口減少が発生していたが、明治以降は無責任なマスコミの売らんがための書き散らしが原因だったとは。しかも1906年は日露戦争の影響で自然に出生率が減っていたのに対し、1966年には人口増を懸念した政府が「明るい家族計画」を推奨していたこともあって出産数が減ったのだ。さすがに来年は同様の事態が起きるとは思いたくないが、SNSでフェイクニュースを宣伝する輩が出てきたら冗談では済まなくなるかも。2025/06/29
saga
52
私も1967年生まれ。67コアグループの次の早生まれ集団に入る。干支が立春を境に替わることを知ったのは社会人になってから。私の両親も私の干支を未年と言っていたくらいだ。江戸、明治、昭和と、丙午にまつわる迷信(悲惨な子減らし、当該女性の差別)により当年人口が減少したことを検証しながら、令和の丙午がどうなるかを予測。私の経験から、同年女子に恋心を抱くことはあれ、丙午を理由に忌避することはなかった。人口減少の原因が戦後GHQの政策にあったと記憶していたが、その後の「明るい家族計画」がダメを押したのではないか。2025/10/07
kk
43
図書館本。「丙午」伝説360年の歴史を振り返り、この迷信が及ぼした害悪の実態やその背景なとを考察した上で、今日的な位置付けと今後の見通しなどを論じます。実はkkも丙午生まれなのですが、自分の生年について、どちらかと言えばポジティブに捉えて来たのですが、この迷信が過去において多くの悩みと苦しみをもたらしてきたこと、初めて意識しました。そうした年であってもkk を産んでくれた親に、今さらながら感謝です。「丙午」騒動は昭和で打ち止めになる見通しとのこと、本当に宜しいことと思います。2025/03/27
HMax
39
丙午年生まれの著者が分析した「ひのえうまの大出生減」。これを逆回して少子化を解決できるのではと期待したそうです、結果は、令和の丙午では少子化が進み過ぎて出生減すら起こせない。最初の丙午に関する記録は1666年生まれの八百屋お七、昭和の丙午人口は134万人(前年比46万人減、翌年は57万人増)、中絶数80.8万人(36%平年並、2023年14%13万)、1966年の年始・年末に生まれた女児10人に一人は65/67年生まれに。最大のメリットは大学入試、進学率26.5%(65年24.4%、67年23.6%)。2025/11/16
よっち
30
日本の出生数が統計史上最低を記録した1966(昭和41)年。高度経済成長の只中、2つのベビーブームの間にあって、なぜ迷信が出生減をもたらしたのかを読み解く1冊。60年に1度ある干支ひのえうまの代名詞のように言われた八百屋お七。都市伝説が生まれた背景や幕末には全国に拡散した経緯があって、人口動態が判明している明治は4%減で昭和の1/5程度しかない一方、不縁や連続自死といった社会現象を引き起こしていた事実。昭和は追跡調査を見るとそこまででの影響はなかった印象ですが、令和の時代にどれくらい影響があるのかですね。2025/03/13
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