内容説明
母さんを殺したのは、俺だ――。
許せなかった。自分自身も、父の再婚も、大好きだった音楽も。
高校2年生の羽山陽介は母を亡くした幼少期の記憶に今も囚われていた。
男手一つで育ててくれた父と、突然紹介された父の恋人に懐く無邪気な妹。
あの人が家に来るたび作ってくれるカレーは、母の得意料理だった。
「俺、絶対認めないから」。
気持ちの整理がつかない日々の中、学校で不可解な事件が起こる。
切り刻まれた幼馴染のイヤホン、階段から突き落とされた友達。
突然部活を辞めたエース、誰とも長続きしない人気者、善意の押し売りに苦しむクラスメイト――。
それぞれの無言の叫びは渦となり、やがて溢れ出していく。
本当は誰かに叱ってほしい。お前を許すと言ってほしい。
誰も本当の意味では分かり合えない、それでも分かり合いたい。
僕たちは、必死にもがいて手を伸ばしている。
デビュー作で青春の「痛み」を暴いた若き才能が掬い上げるのは、
「痛み」の先にある一筋の「救い」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
itica
63
母がなくなってからずっと口に出せなかったことがある。7年経って高校生になった今も、その思いに苦しめられている陽介。そして純粋すぎる故に傷ついているクラスメートや友人。「硝子の少年」て歌あったよね。そんな感じ。そんな若者たちを理解するには年を取り過ぎてしまったかなあ、と少々残念な気持ちになる。あの担任教師は私も苦手だな、とそこは共感。 2025/02/26
rosetta
32
★★✮☆☆好きな人にはハマるんだろうけど自分には全然来なかった。単にイライラしただけ2025/03/22
もぐもぐ
31
母の死に自責の念を感じ、父の再婚相手に馴染めない陽介。彼も、同級生の友人たちも言葉に出せない葛藤や悩みを抱えてる。みんなのモヤモヤはわかるけど、イマドキの高校生はもう少し大人では? どうにも自分にはテンポが合わなくて退屈に感じてしまった。デビュー作から連続で高校が舞台の話だったので、そろそろ次は別の場所を舞台にした話を読んでみたい。2025/08/22
ひめか*
31
初読み作家さん。青春サスペンス。思い通りにいかない思春期特有の葛藤や苦悩が描かれているけれど、厨二病っぽいような、私は共感できず流し読みでした…幼い頃に母親を亡くした主人公は、母の死は音楽を聴いていたせいだと自分を責める。父とその再婚相手と連れ子と一緒に暮らすも、再婚相手を受け入れられない。学校でも不可解な事件が続々。みんないろんなものを抱えていて、理解することは難しいけど、仲間に恵まれたのは救いだった。背負わなくて良いんだよとか、ちょっとした一言をかけてくれる友達は大切にしてほしい。前を向けて良かった。2025/06/13
いちろく
25
父親の再婚話や友人の事故など、高校二年生の羽山が過ごす日常の一時期を切り取ったような内容。正直、デビュー作の著者と本書の著者は同一人物なのか?と疑うぐらい乖離を覚えた。独特な臨場感と苦みも感じた女子部活のリアルさを描いた前作は、執筆時の著者の年齢も踏まえて凄いモノを読まされた衝撃を受けたのだけれど……。今回はありきたりと言うか、だから何?としか思えない拗らせ男子のメンドクサさに本一冊分付き合わされた疲労感が残るだけの読書だった。それでも、次作にはデビュー作のような凄い内容を期待している私がいるのも事実だ。2025/04/13
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