内容説明
昨今大きく報道されたジャニー喜多川による性加害は,80年代には既に告発され,2004年に最高裁判決でその事実が確定していた.しかし,当時の多くのメディアは事件を黙殺し最近までこの問題を報じなかった.それはなぜなのか.文藝春秋の代理人でありメディア裁判の第一人者である著者が,ジャーナリズムのあり方を問う!
目次
第1部 裁判
1 『週刊文春』の報道
2 地裁での審理
3 東京地裁判決(二〇〇二年三月二七日)
4 東京高裁判決(二〇〇三年七月一五日)
5 最高裁決定(二〇〇四年二月二四日)とその後
第2部 メディア
1 報道の自由は何のためか
2 メディアはなぜジャニーズ問題を報じなかったのか
3 おわりに――自由な報道を実現するためには
註
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みさと
3
ジャニー喜多川氏の少年に対する性加害事件を『週刊文春』が最初に報じたのが1999年。それに対する名誉毀損裁判について、東京地裁判決が出たのが2002年、東京高裁判決が2003年、最高裁が棄却し高裁判決が確定し性加害事件があったことが裁判上確定したのが2004年。ところが、2023年にBBC番組放映と日本での被害者実名顔出し告発がなされるまでメディアでの調査や報道は見られなかった。それはなぜなのか、どんな力学が働いていたのか、今日に残した教訓は何か。文春側弁護人として一連の裁判に臨んだ著者が経緯を語る。2025/03/06
みんな本や雑誌が大好き!?
1
ジャニー喜多川の性加害問題を取り上げ、ジャニー事務所側から訴えられた週刊文春編集部側の弁護士をやっていた喜多村さんによる本です。 タブーに関して「報道しない自由」を満喫する日本の多数派大手ジャーナリズムに対する反論の書として面白く拝読しました。 週刊文春による告発報道以前にも、喜多川問題を取り上げたものはいくつかありました。喜多村さんもまずは「北公次」さんの告発書『光GENJIへ・元フォーリーブス北公次の禁断の半生記』(データハウス)などに触れつつ論をすすめています。2025/03/22
Go Extreme
1
裁判:証言 証拠収集 公開法廷 信憑性 法廷尋問 判決結果 控訴審 賠償請求 名誉毀損 被害者証言 裁判所判断 法的責任 メディア:報道姿勢 沈黙 バイアス 権力監視 情報操作 倫理責任 影響力 取材能力 自主規制 知る権利 報道の自由 言論統制 社会的影響:認識変化 自浄作用 問題隠蔽 再発防止 被害者支援 透明性 向き合う責任 改革 必要な報道 社会的責任 企業圧力 批判の抑制2025/03/09
ぞろElwood
0
★★★2025/10/18
のぶ
0
第一章では裁判の経緯(最終的に文春の報道が事実に基づくものであることが認定された)が語られ、それよりも多い分量で第二章ではこの一連の事件を報道しようとしなかったメディアの持つ問題点について論じている。本書を通じて、事の経緯を復習し整理することができ、嘘があばかれて一安心、という気分になったが、いや待てよ。考えてみたら、この裁判は報道が嘘でないことを裁いただけで、性加害そのものを裁いていないぞ。文春が扱わなかったらこの陰惨な出来事はずっと闇の中だったことになるな。まだこの国は安心にはほど遠い状況のようです。2025/05/29




