内容説明
〈プーチンのロシアはソ連へと回帰している〉。高校卒業後、ソ連・モスクワ大学に6 年間留学し、NHK で40 本以上のソ連・ロシア関係の番組を制作してきた著者が、自身の体験や現地で暮らす人の言葉をとおして大国の50 年の歩みを案内。
【主な目次】
はじめに ロシアはソ連へ回帰するのか
第一章 えっ! 資本主義!?
第二章 さびしい大国
第三章 暮らしのなかのソ連、民主主義ってなんだ?
第四章 ソ連・ロシアの戦争
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
131
世界に冠たる大国だと信じてきた祖国は呆気なく崩壊し、貧困と無秩序に苦しめられた国民は強力な指導者の下で再び強大国化を夢見る。かつてドイツとヒトラーのたどった道を、今ロシアとプーチンが進んでいる。現在のロシア指導層はソ連時代に教育を受けた世代であり、KGB出身の大統領を筆頭に周囲を敵に囲まれていると認識していた。命令されるのに慣れていたロシア人も、何の夢も与えない民主主義よりも「偉大な祖国」を唱える独裁者に盲従する心地良さに身を委ねた。その果てのウクライナ侵攻で滅びの火が見えた時、人びとはどう反応するのか。2022/12/11
サアベドラ
46
ソ連時代のロシアの生活と、当時の記憶とともに生きる現代ロシアの人々の様子を綴ったエッセイ。著者はソ連時代のモスクワに6年間留学し、帰国後日本でロシアやソ連に関するドキュメンタリーを撮ってきたジャーナリスト。2022年刊。ソ連崩壊から30年、ソ連の記憶は今も多くのロシア人の中に生き続けており、クレムリンに棲むあの悪意の権化も根っからのソ連人であり、一連の彼の理解しがたい言動もソ連時代の原理に従っている。ソ連やロシアの人々を描いたエッセイを読むたびに、社会体制が違うと人の考え方はここまで違うのかと愕然とする。2023/01/06
Mark
38
説得力のある良書だと思います。隣国への侵攻という暴挙に出たプーチンのロシア。自分も仕事でモスクワを訪れたときに感じたのは、笑顔の人が全く見られなかったこと。サービス業のホテルのフロントでさえ、不機嫌そうな応対だし、土産物屋のおばさんも愛想がない。わずかに、冗談を言ってみると、薄い笑い顔が印象的で、笑えないわけでもなさそうだ。70年もの間、ソ連をやってきた人たちが、自由・資本主義へと急に転換したところで、不適応を起こすに決まっている。勝手に我々が自由で開かれた国を期待しても無駄なようだ。2022/12/27
Roko
28
著者の友人はウクライナにもロシアにもいます。その人たちはみなお互いを友人であると認識し、戦争が早く終わって、また会いたいねと思っているのです。この後どれだけの時間が必要なのかはわかりませんが、いつか戦争が終わります。その後、あの戦争は何のために起きたのか?と問われても、一般の人にとっては答えようがないでしょう。第二次世界大戦、そしてその後の戦争での犠牲を、ロシアはどう捉えているのでしょうか。戦争に勝とうが負けようが、死んだ人は戻ってきません。若い命を無駄遣いして、ロシアは何を得ようとしているのでしょうか。2023/05/06
Nobuko Hashimoto
28
著者は1970年から6年間モスクワに留学し、帰国後、NHKディレクターとしてソ連やロシアに関するドキュメンタリー番組を40本以上制作してきた。退職後も2012年から5年間モスクワに暮らし、ソ連・ロシアとは半世紀にわたって付き合ってきた。そのなかで見てきたロシアの人々の思考や行動の優れた面と理解しがたさを、肩入れしすぎず突き放すでもなく率直に綴っている。著者の制作した番組を順を追って見たいなぁ。2023/02/20
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