内容説明
「もう一つの未来」を模索するとき、「野党史」が灯火になる
岸田文雄総理、安倍晋三元総理、野田佳彦元総理、枝野幸男氏ら錚々たる面々が初当選し、「非自民」の細川連立政権が誕生した1993年から30年。この間、常に「保守2大政党」を志向する言説が、リベラル勢力に強い圧力をかけ続けてきた。本書では、それに抗してリベラル勢力が一定の陣地を確保し続けてきた理由を探り、「公器」としての野党第1党の役割と課題を分かりやすく解き明かす。弱小野党内での主導権争いに終止符を打ち、巨大与党、長期政権と伍すため野党に求められる政策と戦略を明示。
【主な目次】
序章 リベラルは本当に「瀕死」なのか
第1章 平成「野党史」への視点
第2章 「令和の政治」に望まれること
第3章 「目指すべき社会像」の構築に向けて
終章 「この道しかない」にNOを
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バーバラ
8
序盤は概ねこの30年の野党の歴史を振り返る内容。小選挙区制の導入が想定したのは保守2大政党制だが、かつては民主党、近年は立憲民主党というリベラル勢力がしぶとく生き残ったという見方が興味深い。後半はこれからの野党第一党つまり立憲民主党はどういう立ち位置で与党に対峙すべきか述べてある。自民党の掲げる「自己責任社会」に対し明確な対立軸として「支え合う社会」という旗印を打ち出して選挙に臨むべしという指摘には深く共感した。なかなか政権を取れない野党を応援疲れしている人にぜひおすすめしたい。勇気と元気をもらえます。2023/11/05
チェアー
4
リベラル野党の政策は、弱者の言葉を語っているかという点で判断すべきだ。政策で多少のブレがあっても構わないだが、目指すべき社会像にブレがあってはならない。 2023/10/21
金吾庄左ェ門
0
元々が菅直人の番記者だったような方ゆえか、明らかにリベラルと言うか左翼に偏った考えに基づいて書かれているのが残念です。私自身、90年代の改革ブームをよく知っておりその可能性を信じていた人間の一人ですので、今でも行政改革や規制緩和による小さな政府を強烈に支持していますし、頭にネオがつくリベラルの一人です。あと民主リベラルって自由民主党になりますよね(笑)2024/09/15
TorysGirly
0
まずリクルート事件以降の野党の歴史を振り返る。今の自民党裏金問題を彷彿とさせる当時の政治とカネ。今の問題でまた政界再編があったりするのだろうか。報道および政治論談で支配的だった「保守二大政党」を強いる事を批判し、本書の範囲では新党さきがけに源流を持つ「リベラル」(定義なく用いられているが、した方が良かったように思う)政党が野党第一党である事の意義を説く。未だ日本では(ぼんやりとでも)保守二大政党を望む人の方が多いようには思うが、本当にその方向で上手く行くとは今の政治みてても思えず、本書の説得力を感じる。2023/12/23
尾崎ぽえむ
0
ここでの野党第一党とは、要は民主党系について書かれている。前半は55年体制崩壊後の野党を主眼に置いた日本政治史、後半は野党に求められることは何かについて書かれている。特に前半は史実ではあるがドラマチックで普通に読んでいて面白かった。民主党政権以降の社会しか記憶に無いが、今の野党の構図も、結局のところずっと前から繰り返していることと似通っているというのが分かった。ここ30年の日本の政治史を俯瞰して学べるし、読み物として面白い。また、目指すべき社会像が大事という意見にも同意できる。2023/10/08