内容説明
1970~80年代の障害者運動を牽引し、「否定されるいのち」の立場から健全者社会に鮮烈な批判を繰り広げた日本脳性マヒ者協会青い芝の会の「行動綱領」を起草、理論的支柱であった故・横田弘の思想と今日的な意義を探究する。
【主な目次】
序章 伝説・横田弘
第一章 どんな「主語」で自分を語るか
第二章 「横田弘」誕生
第三章 「青い芝の会」誕生
第四章「行動綱領」誕生
第五章「行動綱領」の条文を読む
第六章 生き延びるために「絶望」する
第七章 「行動綱領」改訂される
第八章 「脳性マヒ」に立ち帰れ
第九章 「青い芝の会」と日本国憲法
第十章 脳性マヒ者にとって「解放」とは何か?
第十一章 闘うのは「ありきたりなもの」のために
終章 人間・横田弘
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遊々亭おさる
15
「青い芝の会」とは脳性マヒ者が主体となって障害者のための社会運動を行ってきた草分け的団体。車椅子での乗車を拒否した川崎市のバスを占拠し抗議活動を行うなど、過激な運動を含めた問題提起で70年代を賑わせる。その精神的支柱にあったのが重度脳性マヒの横田弘と彼が書いたアジテーションのような『行動網領』。彼の望みは、障害者も子を産み育てる命の循環の一員となること。「本来あってはならない存在」と自らを絶望することから始まる屈強な主張は、相模原事件で揺れる現代社会にも問題提起し続ける。詩の読み解き方の勉強にもなります。2017/05/06
せい
5
物凄く良い本だった。『こんな夜更けにバナナかよ』を初めて読んだ時以来の衝撃かも。「我々は愛と正義を否定する」で有名な行動綱領を解説するという形で、その奥にある青い芝の活動家・横田弘の思想を紐解く。シンプルで力強い問いであるが故に「過激」と受け取られた彼の思いやその背景にある障害者運動の歴史を、数多の文献や本人へのインタビューを通してとてもとても丁寧に説明している。「"生産性"の無い他者」への不寛容さが高まるこの時代だからこそ、マジで全人類に読んでほしいと思う。横田の切実な思いが抜身の刃物のように刺さる。2020/10/29
たんたん麺
4
中島岳志さんが勧めているから読んだ!すごく強烈な本でした!差別について考えさせられた!しかし、舞台が茨城の石岡ってモロ地元じゃねーか!著者がオレと歳が変わらないし!細かいところに驚きました!2017/03/26
JunTHR
3
むちゃくちゃ名著だった。かの有名な青い芝の会の「行動綱領」の成立と読み解きを中心に、青い芝の会と横田弘について深く知り、考える機会を与えてくれる。 文体は優しい語りかけ調ながらも、横田弘の、そして著者の訴えは熱烈で深遠なものだ。ただ事じゃないほどの思考の強さがある。 そして何より心を打つのは、著者・荒井裕樹と横田弘の関係性によってこそ、この本が書かれたという事実。終章は思わず泣きながら読んでしまった。2020/09/29
たろーたん
2
青い芝の会「行動綱領」の読解。「われらは自らがCP者であることを自覚する」「強烈な自己主張を行う」「愛と正義を否定する」「われらは問題解決の路を選ばない」。核となる主体性。自己否定はやめて障害者エゴイズムを発揮するほどに主張しなくてはいけない。「車いすのままバスに乗りたいが障碍者の我儘なら、車いすのままバスに乗るなは健常者の我儘だ」。そして安易な妥協はしない。安易な妥協は誰が何を考えるかを曖昧にする。こっちに代替案を考えるよう求め、それが出来ないと黙らされる。代替案がなくても「もう嫌だ!」と叫んでいい。続2021/12/10
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