内容説明
日本の重大犯罪の加害者家族は自死する者も多い。「世間」から責められる。西洋諸国には存在しない現象だ。本書は、加害者家族のバッシングを「世間」という補助線を引いて考えてみた。そして加害者家族が苦しまない方法をも考察する。
【主な目次】
はじめに――なぜ、加害者家族問題なのか
第1章 ニッポンにしかない「世間」――世間学の概要
第2章 親(家)は責任を取れ――ニッポンにおける〈近代家族〉の不在
第3章 安全・安心の国ニッポン――同調圧力のつよさとケガレ
第4章 死んでお詫びします――「高度な自己規制」の異様さ
おわりに――「自分は自分。他人は他人」と考える
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
38
<この国では、とくに殺人などの重大犯罪がおかされた場合、犯人の家族に対して、「親(家)は責任を取れ」という「世間」からの非難がおきる/メディアスクラムやネットリンチなどの形で、「世間」からひどいバッシングを受ける。その結果、家族は転居や転校や転職を強いられ、極端な場合は自殺まで追い込まれる>。西欧では、こうしたひどいバッシングは見られない。バッシングはこの国に特有な現象らしい。なぜなのだろうか? 著者は、答えは簡単だという。<ニッポンには、海外とくに西欧には存在しない「世間」がある>から、と。確かにね。⇒2020/07/18
崩紫サロメ
18
日本で、加害者家族への苛烈なバッシングが行われることについて、日本には西欧には存在しない「世間」があることで、ヨーロッパで生まれた<近代家族>が未成熟なままであり、個を前提とする<近代家族>でがないために、家族は「世間」からの非難に対抗できないからであるとしている。更には近年の新自由主義的な流れに対して社会の背後にあった「世間」を顕在化させ、肥大した「世間のルール」が同調圧力を更に強め、多くの自殺者を生み出しているとする。2020/07/14
ふぇるけん
10
「社会」と「世間」の違いについては、鴻上尚史氏の「空気を読んでも従わない」にもあったので、すんなり入ってきたが、本書でより理解が深まった。日本の治安の良さが裏を返せば「世間」の同調圧力の強さにあり、それが加害者家族バッシングの背景になっているというのは説得力がある。「村八分」という言葉にもあるように、加害者家族を「世間」が社会的に抹殺する行為は、憲法で保障されている基本的人権を著しく侵害する違法行為である。日本の社会を成熟させるためには、憲法の思想と社会との関係を適切に教育することが必要だと感じた。2020/07/10
るき
9
子どもの不始末は親が責任を取るべき、という圧力が加害者家族を崩壊させるのは「世間」だというのは実感している。犯罪や病を「ケガレ」とみなす呪術である。だから当事者だけでなく親族に至るまで人権が奪われる。うわ、これ正に今起こってることじゃないの。コロナに感染した人をケガレとみなすからバッシングが起こる。「迷惑をかけてはいけないから」他人を殺す代わりに自分を殺す国。子育て怖くなるのも少子化も無理はない。この本には出てこなかったけど、妊産婦の死因の1位が自殺ってニュースを見た時は絶望的な気分だったよ・・・。2020/05/23
まさや
6
「世間のルール」から外れた家族には何をいってもいいという「世間のルール」がある。 世間という「高度な自己規制」が日本の自殺率の高さにもつながっているそうです。2021/03/19
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