内容説明
映画俳優として確固たる地位を築き、多くの人から愛された菅原文太氏。ただ、「映画俳優」が彼のすべてではない。彼は2014年11月に他界する少し前に「日本を再び戦争をする国にしてはならない」という思いから命を削って沖縄県知事選の応援に臨んだ。また、「政治の最大の責任は国民を飢えさせないこと、戦争をしないこと」という信念から無農薬有機農業を始め、さらにはラジオや雑誌の対談に同様の問題意識を持つ専門家を呼び、積極的に発言してきた。今改めて、我々は菅原文太氏の最後のメッセージを考えていく必要がある。
【主な目次】
はじめに
第一章 俳優になるまで
第二章 新東宝・松竹時代――主役から脇役へ
第三章 東映時代(一)――時代劇、任侠映画の様式を壊す文太
第四章 東映時代(二)――「オレの場合は存在感だけでね」
第五章 文太の思い
参考文献
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
もりくに
44
演技する俳優と実像のギャップは、理解しているつもりでも、やっぱり騙されてしまうことがある。私にとって菅原文太さんは、そんな俳優だ。「仁義なき戦い」も「トラック野郎」も、何とも粗野な感じがして、リアルタイムで観なかった。農業を始めた時にも、俳優の「道楽」ぐらいにしか思わなかった。彼が自分で選んだ専門家と議論を交わすラジオや雑誌も知らなかった。彼に初めて目を向けたのは、亡くなる直前の沖縄知事選での「飛び入り」演説(!)演説の冒頭、政治の役割を述べる。「国民を飢えさせないこと」と「絶対に戦争をしないこと」。→2020/05/13
Mitsuhito Shiraha
2
画家の子息で小説家志望、貧乏学生が食うためにモデルに。東宝の傍系新東宝にスカウトされてデビュー。私の菅原文太のイメージは狂気なき暴徒、微かなハニカミ。どこか覚めている。東映で言うと松方弘樹の方がよほど目に狂気を宿していた。それはこの方の文学由来の知識人であったことと無関係ではない事が本著でよく分かる。井上ひさし著「吉里吉里人」の映画化を長谷川和彦監督に勧めたのはこの方だった筈。他文献からの引用が目立つが時代を併走した深作欣二監督とのエピソードはこれから映画を観る人にはガイドブックにもなるだろう。2019/12/03
つるる
0
文太さんの生涯を映画作品とともに振り返ってゆく評伝。 前書きで著者自身が文太ファンであるエピソードが明かされているのだけど、全編を通してファン魂が感じられるのが特徴かと。 悪意ある暴露本と違って対象である文太さんへのリスペクトが一貫して伝わってくるうえ、参考文献も膨大。 ファンならば持っておいて損はないであろう情報量でした。 が、文太ファン未満の私としてはどうしても著者の方に関心が行ってしまうわけでありまして。裏方に徹しているようでとぼけた味が滲み出てしまっている文体に、思わずにやけてしまいました。 2019/05/29
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