内容説明
ベトナム人の失踪が相次ぎ、「奴隷労働」と国際的に批判された外国人技能実習制度。その廃止は決まったが、近年は技能実習生が孤立出産に追い込まれ、赤ちゃんの死体を遺棄する事件が続く。なぜ悲劇は繰り返されるのか? 新制度が始まれば、もう起きない? マタハラが許されない今、妊娠が罪であるかのように職を追われ、帰国させられる数多くのベトナム人女性。寄る辺なく悲しみや苦しみを抱えた妊婦のために戦い、新しい「いのち」の誕生を支えてきた女性僧侶による、慈悲の記録。
目次
はじめに――繰り返される悲劇
第1話 ベトナム戦争からの仏縁と増える位牌
第2話 行き場を失う遠距離恋愛の二人
第3話 「妊娠は病気」 だから働けない?
第4話 児童相談所に赤ちゃんを奪われて
第5話 技能実習生の“味方”が助けてくれない
第6話 介護士を目指す留学生の“違反”
第7話 日本の大人に騙されたシングルマザーの涙
第8話 「妊娠したら帰国」 という呪文
最終話 新制度で悲劇を繰り返さないために
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
42
新刊コーナーより。私たち日本人女性がジェンダー格差で不愉快な経験をしているなか、もっとひどい思いをしている人たちがいる…。人を人とも思わない海外実習生への対応について、もっと知ってほしいです。「これだから外国人は使えない!」とか、「ベトナム人はすぐ逃げる!」なんて言う前に。だって…「そりゃあ逃げるよ!」って心から思いましたもん。外国人労働者に依存しているくせに、優位なつもりでいる人間にはなりたくない。人(女性)にやさしくない国は力を失います。他人ごとではありません…。2024/11/29
りんご
41
ぐあー、難しい。妊娠はめでたい事だし、子供は宝。でも技能実習中に妊娠したらさあ、その後のこと考えたらさあ、、、。って思いつつも、女性はあくまでも受け身なので、本人が望んでなくても妊娠する可能性があるのよね。妊婦は保護したい、子供も健やかに育ってほしい。そのためには日本なんて産みにくい国で頑張らない方が良さそう、、、。2025/05/04
kitten
18
図書館本。おもにベトナムの技能実習生が妊娠した場合にどうなるのか。基本的には、帰国させられる。そのため、ぎりぎりまで隠そうとして、さらに問題になる。正直に言うと、私にも、「外国から実質出稼ぎに来ておいて、なんで妊娠するの?」という想いはある。でも、短期間ならともかく、長期滞在を目指すような人は若い人なんだから、そりゃそういう事例も増えるよ。支援制度もあるんだけれども、とにかく面倒くさくてハードルが高いので、避けようとしてしまう。ちゃんと考えていかないと。2024/11/30
CCC
10
メインタイトルから真っ先に連想したのはシンガポールだった。シンガポールのメイドは半年ごとに妊娠検査があり、妊娠が発覚すると強制送還だが、現状日本の法はそこまで非情ではない。しかし法はそうでなくとも、会社が法を伝えずむしろ隠蔽し、独自ルールを押し付け、場合によれば脅しを加えたりするので、実質的に似た状態になっている様子が見て取れる。法より社内ルールが優先されがちな日本の労働環境が反映されているとも言えそう。それでも改善する気があるなら未来はあるが、シンガポール的開き直り路線に向かう可能性もあり油断ならない。2025/09/24
トト
6
時々ニュースになることで見聞することが多い技能実習生。近年増えた胎児の死体遺棄事件がなぜ起きたかを見ていく中で顕になった弱者の悲劇を、支援する立場から世間に訴えるドキュメンタリー。人権を無視して労働力としてこき使う、日本の悪い癖が根本にある。技能実習生という逃げ道のない弱者に対しての問題だが、女性であったり立場の弱い男性に対しても、結局本質的な部分は同じと思われる。搾取される側より搾取する側になれという教育を無自覚にしてきた結果、日本が世界に搾取されても自己責任として完結するようになったのは当然の結末。2024/11/20




