新潮文庫<br> 光の犬(新潮文庫)

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新潮文庫
光の犬(新潮文庫)

  • 著者名:松家仁之【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 新潮社(2025/03発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101055732

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内容説明

ひとりひとりの人生は奇妙にゆがみ、奇妙に偏っている――。助産婦の祖母、独身の三人のおばたち、会話の少ない父母、のびやかな姉・歩と気難しい弟・始。それぞれの願いと葛藤が溶けあいながら、三世代の時間は進んでゆく。北海道の小さな町を舞台に、失われてゆく一族の姿と、色褪せない人生の瞬間を、記憶をたどるようにして描き出す。読後、静かな余韻に包まれる百年にわたる家族の物語。(解説・江國香織)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

94
新潮文庫の最新刊で未読の作家さんですが、文部科学大臣賞などを受賞されているので読んでみました。最近の物語と一線を画すような大河小説といった感じでゆったりと読みました。北海道の三代にわたる家族の物語で、助産婦の祖母やその独身の娘たち、息子夫婦には子供が二人いてその生きざまが中心になっている気がしました。父親は北海道犬の飼育に一生懸命、娘は天文台に就職してハッブルの生涯についての話なども出てきます。日常のことを淡々と描いています。たまにはこのような小説もいいものですね。2025/04/07

のぶ

67
北海道の田舎町に暮らす添島家。祖父母、父母、父の3人の姉弟、孫世代になる姉妹、9人で構成される。そして、添島家を見守る代々の北海道犬たち。添島家の9人と、彼らに関わる人達が主人公となり紡がれる、様々な時代の様々な瞬間は、決してドラマになるようなストーリーが隠されているわけではない。にもかかわらず、ページをめくるたび、各主人公たちの息遣い、感情といったものが時にジワリと滲み出し、時に鮮烈で心を揺さぶられる。この作家さんの作品を読むのはまだ2作目だけど文章の魅力にとりつかれた。心地よい余韻に浸りつつ読了。2025/06/24

baboocon

12
初めて読む作家さん。北海道の道東にある架空の町・江留に暮らす家族三世代と飼い犬の物語。時系列が飛び飛びで進んだり戻ったり、視点もコロコロ切り替わるのでなんだか読みづらく、えらく時間がかかってしまった。そんな欠点はさておき、宗教から科学まで幅広い切り口と静謐な文章ながら情景豊かな描写。緩やかに終わりに向かっていく家族のエピソードは決して明るくはないがどこか自分の家族にも通じる箇所がある。産婆のよねが取り上げた数多くの生と添島家の人達の様々形の死は表裏一体であると感じた。2025/05/24

GO-FEET

6
「火山のふもとで」ほどには支持されていないようですが、個人的には甲乙つけがたし⋯ 《人はみんな生れて、いずれ死んでいく。そのあいだに起る大小さまざまな出来事、悲喜こもごも、感情の揺れや思考のすじみちは、家族にさえすべてはわかり得ない。互いを大切に思っているとしても、家族も個人の集合体なのだ。「しかしその寂しい感情は一度もよねの口からことばにされることがなかった」という一文が本書にはあるのだが(中略)口にされないこと、誰にも説明できないこと、一人の人間の内面の多くは、そういうものでできている。》(江國香織)2025/07/19

すいそ・はいどろ

6
北海道の架空の町に暮らした親子三代の時間の流れをただ淡々と綴る。日常の空気や暮らしが様々な色や匂いに彩られながら淡く続いていく。人は生まれ、そしてどういう形であれ亡くなっていく。それが世界や宇宙に与える変化はほとんどないのだけれど、それぞれの生のなかで、多くの物事が開き、閉じていくことは止められない。そこに意味など求めなくてもいいのでしょうね。出来得ることなら自らも他者を批判したり、位置づけたり、説明することなく、美しく生きていきたいですね。2025/04/23

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