ちくま学芸文庫<br> 観無量寿経

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ちくま学芸文庫
観無量寿経

  • ISBN:9784480096579

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内容説明

漢文・古文の知識が必要な仏典を独学で読むのはほぼ不可能に等しい。しかし日本を代表する大作家・佐藤春夫はその筆力により、一人で経典を理解し、味わうことのできる訳を用意した。『観無量寿経』は『無量寿経』、『阿弥陀経』とともに「三部経」と称される浄土仏教の根本経典。仏や仏のいる世界を「観る」方法を説くとともに、自分の力ではいかんともしがたい人生を俯瞰し、切り抜ける方法を教えてくれる。経典の主人公はわが子アジャセに命狙われる古代インドの王妃イダイケ。なぜこのような悲劇が起こるのか説明を迫るイダイケに、シャカは因・縁・果の物語を説く。 文庫解説 阿満利麿

目次

悲劇を機縁として──『観無量寿経』訳・注 佐藤春夫/はしがき/釈尊が「無量寿仏を観奉ること」を説かれた聖典/序分 王舎城の悲劇、ならびに韋提希夫人が極楽浄土を願い求むること/正宗分 極楽浄土に到るための十六の観法のこと/得益分 韋提希夫人とその侍女たちとがさとりをひらくこと/流通分 この経を後のちまで説き弘めたもうのこと/耆闍分 釈尊が王舎城から耆闍崛山へたちもどられてのこと/『観無量寿経』入門 石田充之/A『観無量寿経』の成立と翻訳/一、阿弥陀仏経典の成立/二、『観経』の翻訳/三、『観経』の成立/B『観無量寿経』の流伝と理解の発展/一、中国における観経観の展望/(一) シナ初期・曇鸞・慧遠・吉蔵等の観経観の展開/(二) 道綽・迦才等に展開される観経観/(三) 善導等に展開される観経観/(四) 江南浙江方面の天台系流の観経観の展開/二、日本における観経観の展望/(一) 奈良朝時代の観経観の展開/(二) 平安朝時代の観経観の発展/(イ) 円仁・良源への展開/(ロ) 源信への理解の深化/(ハ) 保胤・静照等への展開/(二) 浄土教芸術への展開/(三) 鎌倉時代以降の法然門流の観経観の展開/(イ) 法然の理解/(ロ) 法然門下一般の見解/1 浄土宗鎮西派弁長の系流について/2 諸行本願義派長西の系流について/3 成覚房幸西の系流について/4 浄土宗西山派証空の系流について/5 隆寛の理解について/6 浄土真宗親鸞の系流について/7 結び/C『観無量寿経』の教説内容について/一、経説の大勢と中心主点/二、経説内容の概観/三、王舎城の悲劇/四、善導流観経観の深化について/D参考註釈書について/文庫版解説 「凡夫」のための経典『観無量寿経』(阿満利麿)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホシ

11
浄土三部経の一つ『観無量寿経』を佐藤春夫が訳・注をほどこし、石田充之が解説した本。佐藤氏は篤実な浄土宗の信者だったらしく、文章からは阿弥陀LOVEをひしひしと感じた。懇切丁寧であり、です・ます調なので親しみの湧く内容だった。石田氏の解説は難しい部分もあって全部は理解できなかったが、『観経』を観察経典と読むか、救済経典と読むかが、後の浄土教の岐路になったという内容だったと思う。救済経典と読んだのは善導であり、法然がそれを受け継ぐ。『観経』を通した中国・日本における浄土教の展開も俯瞰できて、面白かった。2016/09/25

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