内容説明
エネルギーや物質を環境から受け入れはするものの外部システムの作動には関知せず、自己は自身をもとに自らを創出する―本書は、システムが自分自身の組織を形成し変化させていく閉じた環のなかにとどまり、その循環をよき環としてとらえなおそうという、まったく新しい生物学の原理“オートポイエーシス理論”の初歩的で原理的な入門書。生物のあいだの円環を意識しながら、生命の世界に対するしなやかな感性と、生物を制御対象ではなく自律主体として見る柔軟な視線でとらえるこの認識論は、1973年、チリのアジェンデ政権下における知的沸騰のなかで生まれ、社会や法律、現代思想に大きな影響を与えた。序文 浅田彰
目次
序文──知恵の環……浅田 彰/第一章 〈いかにして知るのか〉を知る/第二章 〈生きていること〉の組織/第三章 歴史──生殖と遺伝/第四章 メタ細胞体の生活/第五章 生物のナチュラル・ドリフト/第六章 〈行動域〉/第七章 神経システムと認識/第八章 〈社会〉現象/第九章 〈言語域〉と人間の意識/第十章 知恵の樹/用語解説/図版出典/文献/訳者あとがき/文庫版訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
環境は生物を変化させずに攪乱させる。生物は3つのオーダーで環境とカップリングをする。まず単細胞同士のレベル、次に単細胞同士の凝集がメタ細胞を作るレベル、さらにそこに神経細胞が加わるレベルだ。最後のレベルで神経システムは感覚表面と運動表面をカップリングし、作動閉域を成す。本書は人間と人間社会のコミュニケーションがこのレベルで社会的カップリングにおいて生じるとする。入出力をカップリングと捉える本書は、入出力的な言語の起源論を採らず、言語が共存と維持の「栄養交換」として生じることで世界認識が生まれると仮説する。2017/09/23
はすのこ
5
序文が、浅田彰なんだよね...今日読んでいて、びっくり。2017/02/12
ちゅん
4
オートポイエーシスの話。宇宙誕生からしばらくすると有機体が発生します。有機体は多様性ゆえに、オートポイエーシスの特徴を持ったものが出現するのです。オートポイエーシスそれは外部ではなく自分自身で自分自身の振る舞いルールを定めることです。生物とは何か? …に興味がある人におすすめです。2018/10/28
iwri
4
ルーマンが社会システム理論に応用したことでも知られる、オートポイエーシス(システム)理論の創始者による入門的著作。生物学の専門的な知識は必要ないし、一部を除けば比較的平易で読みやすい。構造的カップリング、閉域的作動などオートポイエーシスの基礎概念がわかりやすく記述されていると思う。ただし、本書で言及されている社会理論・認識論は、言語論と間主観主義を前面化しているだけで、オートポイエーシスシステムのもつ魅力に比べて、哲学的にはありがちで面白みがない。2010/08/23
odmy
3
オートポイエーシスで生命から社会まで説明しようとする本。オートポイエーシスというのは人間の脳みたいな閉じたシステムのこと。脳は外界を表象として映し出すというのが常識だけど、実はそうではなくて、外界からの刺激にその都度それっぽい反応をして、脳というシステムを維持しているだけだ。だから脳が損傷したりするとそうした反応の「それっぽさ」が失われるので、患者はあからさまな嘘を堂々とでっちあげたりする。そして実は誰だって自分の閉じた世界に生きている。だから他者を受け入れようじゃないかと、愛を説いて本書は締め括られる。2023/12/25
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