内容説明
直木賞受賞! やさしく煌めく傑作短編集
コロナ禍のさなか、閉塞感と、婚活アプリで出会った恋人との進展しない関係に悩む綾。
月に一度、綾の早世した双子の妹の恋人だった村瀬と話すことで気持ちを保っている。
重い喪失感を共有する二人が、夜空を見上げた先には――(真夜中のアボカド)
どうしようもないことに対面した時、
人は呆然と夜空を見上げる。
いつか再び、誰かと心を通わせることができるだろうか――。
5つの優しい物語が光を紡ぐ 第167回直木賞受賞作。
【目次】
真夜中のアボカド
銀紙色のアンタレス
真珠星スピカ
湿りの海
星の随に
解説・ カツセマサヒコ
単行本 2022年5月 文藝春秋刊
文庫版 2025年2月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
599
わたしとしたことが!ほぼ読了していると思っていた大好きな作家さんの直木賞受賞作(読み終わるまで知らなかった)を今まで読み逃していたとは。全編のテーマは「別れ」であり、縦糸に星座、横糸にコロナ渦でうっすらと彩を与えた短編集。人は出会えばそのその先には必ず別れがある。それが失恋だったり親の離婚だったり。子ども目線の小説はふだんは好みでないのに、今作ではそれがしっくりきた。好みだった『銀紙色のアンタレス』は以前アンソロで読んだことがあり、ソコだけ損をした感強し(笑)2025/08/06
ykmmr (^_^)
109
何の繋がりのない、5つの作品集だけど、「人の繋がりや別れ」を星に例えて、文章にし、各題名も天文学的である。双子の妹を亡くし、婚活で騙され○倫にハマりかける女性、祖母の家の近所の歳上女性に、恋らしい『憧れ』を持つ高校生、妻の○倫で離婚し、オンラインで娘と交流、新しい出会いもあったが…という男性など、計5つの短編集。こうやって色々な事があっても、星は変わらずに輝くが、星には変化があり、季節ごとに織りなす星座も違う、空を見上げれば見えるものの、実際にはとてつもなく、遠くにある。冒頭の2026/07/03
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
94
(2025-160)第167回直木三十五賞受賞作。タイトルの通り、星座と星をモチーフにした短編集。わし座のアルタイル、乙女座のスピカ、こと座のベガ…。恋愛や家族の話、ファンタジーというか少しホラーっぽい話など、様々な話があるが、共通するのは優しさと別れだろうか。恋人との別れ、家族との別れ、理由は色々あるだろうけど、大切な人と別れるのは悲しい。★★★+2025/10/16
ふう
92
生きることはどうしてこんなに悲しいのでしょう。5つの物語を読みながら、わたしもその悲しさに取り込まれていくようでした。中心となる人物だけでなく、周りにいる人々も同じように切なさをかかえて生きていて、それでもみな、なげやりになったり誰かを恨んだりすることなく、やがて光が照らしてくれることを願いながら明日へと向かいます。離婚で家族を失った父親、いじめられている娘を心配して死んでもそばにいる母親、施設に入ることになった佐喜子さん。3人のやりきれない思いもいつかやさしい光になるのでしょうか。2025/04/09
Kazuko Ohta
76
昨日『秒速5センチメートル』を観たところで、なんだか星に縁があります。コロナに寄せた話は映画も本もあまり得手ではないのですが、これはその寄せ加減が絶妙。尤も、いちばん好きだったのはコロナの「コ」の字も出てこない3つめの『真珠星スピカ』だったのですけれど。いずれの話も主人公は大切に思っていた人をさまざまな形で失っています。なかなか歩き出せないのが伝わってきて切ない。本作を読んだら『秒速5センチメートル』を観ることを薦めたくなりました。乗り越えなくてもいいし、忘れる必要もない。揚げたてコロッケにビールで乾杯。2025/10/13




