内容説明
南天の木の植わった坪庭がある、京都の小さなゲストハウス「風待荘」。家族を失い東京からやってきた眞夏は、ここでしばらくオーナーの仕事を手伝うことになった。泣きたい毎日を変えるきっかけをくれたのは、料理。古い台所で作る九条葱と厚揚げの衣笠丼や、すぐきの焼きめし、近所で出会ったふわふわのだし巻き卵のサンド、レトロな喫茶店のゼリーポンチフロート。同居する四人の女性やお客さんと食卓を囲む時間に心を癒されていくなか、まさかの人物が眞夏を訪ねてやってくる……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
369
舞台は京都。ひょんな事からゲストハウスとシェアハウスを経営する女性を手伝う事になった40代女性が主人公。登場人物が皆暖かく、(唯一主人公の離婚した男性は別として)優しいので安心して読める。読みながら「風待荘」でゆっくりたゆたう、くつろいだ気分を味わえる。そして読後。世界に羽ばたきたくなる、自分は何でも出来そうな気がする、明日が楽しみになってくる、また何度でも此処に帰って来たくなる、そんな良本でした。2025/07/23
starbro
367
近藤 史恵、4作目です。本書は、京都ゲストハウス家族小説の良作でした。風待荘なので、海辺の街の物語かと思いきや、京都が舞台です。紅葉の時期に、一週間、風待荘に滞在して、京都を目一杯観光し尽くしたい。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322308001040/2025/03/12
旅するランナー
231
東京で平穏に暮らしてきた女性が、突然夫から離婚を切り出され、高校生の娘も奪われる。絶望·孤独·倦怠に苛まれる彼女が、京都東山のゲストハウスで働き出し、多様な人生観を持った人たちとの触れ合いで立ち直っていく姿が描かれる。彼女が作る食事と京都らしい料理に、僕たち読者も癒される。京都のはんなりした風が心地よい小説です。2025/03/07
hirokun
214
★4 この作品を読んでまず思い出したのが、「私の人生って、何だったんだろうな?」という妻の囁き。この言葉を聞いた時、これからの人生においては、出来るだけ妻には自分の好きなことをして生きてほしいし、私もそのサポートをしていこうと決心したことを思い出した。人の人生は、長い間には思いもかけなかったことが起こるが、少なくとも他人の為ではなく、自分のための人生を生きていきたい。今後も、流れのままに生きていくのではなく、自分に相応しい、自由に決断した人生を歩んでいきたいと思わせてくれる読書だった。2025/02/25
Karl Heintz Schneider
201
「『もし、お気持ちを整理する時間が必要なのだとしたら、少し、私と一緒にたゆたってみませんか。』その最後の一行が胸に突き刺さった。」主人公と同じく、序盤のこの文章だけでやられた。どっぷりと近藤ワールドへ引き込まれることに。現実を故郷に置き去りにして京都にやってきた眞夏。彼女を迎えてくれたのは京町家風情のゲストハウス風待荘。そこで出会ったちょっぴり変わった住人達との交流を通して眞夏は久々に楽に息ができるようになる。近藤さん・シェアハウス・京町家。この最強のスリーカードがそろえば面白くないわけがない。2025/05/01




