内容説明
【小説すばる新人賞出身の気鋭が放つ、令和版ハードボイルド!】
【深町秋生さん(ミステリ作家) 推薦!】
瑞々しく、怖い小説だ。
無垢な少年を情と恐怖で絡め取る半グレ集団は生々しく、
青春を呑みこむ闇の深さに戦慄した。
【杉江松恋さん(書評家) 推薦!】
裏切られ、泥を舐めた者だけが知る、本当の優しさが描かれた小説だ。
高校3年生の椎名和彦は、バイト漬けの日々を送っていた。
鬱屈した状況から逃げ出すように、同じく暗い境遇にある中高生たちが集まる大阪・道頓堀の“グリ下”で過ごす時間が長くなっていく。
そこで出会った半グレ集団「顔役」の溜まり場に顔を出すようになり、やがて大麻入り錠剤をグリ下で売り捌くように……。
ミナミ(難波周辺)を拠点とする「顔役」は、敵対するキタ(梅田周辺)の半グレ集団らと、ことあるごとに衝突を繰り返していた。
闇深きアンダーグラウンドな世界に否応なく巻き込まれるグリ下メンバーたち……
令和大阪の路上(ストリート)を活写したハードボイルド×青春群像劇!
【著者略歴】
増島拓哉 (ますじま・たくや)
1999年大阪府生まれ。関西学院大学在学中の2018年に『闇夜の底で踊れ』で第31回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『トラッシュ』がある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やも
85
舞台は大阪・グリ下。煙草むんむん煙たくなるようなアングラムードの中、半グレ集団に出会った高校生。仲間に飢えていた彼を待ち受けていたのは…▶いやぁ、場面の切り替えが抜群にうまい!!フラグ回収なるかと思いきや、からのミスリードもうまい!暴力こそが力、知恵と知識こそ力、生き延びることがすべて、どう生きるかがすべて…相反する思想のどちらにも美学があり、半グレも警官も、単純な悪や正義に割り振れない。若干のツッコミはあれど、愛と勇気と度胸をバイオレンスで彩った緊張感のある1冊。2025/05/09
aki☆
54
お久しぶりの増島さん。アングラの世界に引きずり込まれ、どっぷりと浸らされた。コロナ禍の大阪で一人の男子高校生が落ちていく。暴力と犯罪に塗れた世界に。椎名が欲しているタイミングで「居場所」「仲間」が与えられたんだからそりゃ抜け出せないよな。見たいものしか見ず、疑念や不安には蓋をする十代の子供、それを知っていて利用する汚い大人達。その描き方がリアルで絶妙で巧い。そこに半グレ集団の抗争と刑事の復讐が絡んで予想以上に血生臭かった。どう収束するのかと思ったら…。ただ椎名にそれほど魅力を感じられなかったのは残念だ。2025/06/20
さちこ
31
知らない世界が覗けた。読み応えがあった。小説ってほんとに素晴らしいと感じた2025/03/02
rosetta
29
★★★✭☆19歳でデビューして大いに期待していたこの人ももう26か、待ちわびた三冊目の上梓。コロナの頃のお話。大阪の地理はようしらんけど、あのグリコの看板の下にトー横みたいに恵まれない若者が屯しているらしい。ミナミの顔役を名乗る半グレ、格闘技ジムを隠れ蓑にした半グレ、兄弟で働く詐欺師、息子を地下格闘技で殺された刑事。4すくみの争いが大阪の街を震撼させる。悪い奴はいつでもどこでもいるもんだ。主人公の16歳の椎名がなぜ顔役に気に入られたのか、あまり説得力のある説明がないのが不満。コロナは本当にウザかった2025/04/07
ロア
20
複雑に絡み合うストーリーがものすっごく面白かったです!特にダイアローグが最高でした(*´ω`*)関西弁って苦手なんだけど、そんな苦手意識がぶっ飛んだ。暴力や闘争シーンも文章で的確に表現されていて、超引き込まれました。お気に入りキャラは、変態クィーンと、寺西仲良し兄弟。兄思いの弟の健気さに、心打たれた……つД`)2025/04/30