内容説明
オール讀物新人賞最年少受賞! 歌舞伎小説の新星現る
◆あらすじ
時は文化文政。江戸の芝居は華盛り。
今をときめく色男・菊五郎に芝居の現人神・團十郎が揃い咲けば、たちまちそこはこの世の極楽。
天才狂言作者・鶴屋南北の筆は次々傑作を生みだすも、金が敵の世の中で、ケチな金主とあの手この手の化かし合い!
すかっと笑える歌舞伎ものがたり、始まり、はじまり~。
*
文政2(1819)年。江戸歌舞伎の二大スター三代目尾上菊五郎、七代目市川團十郎はそれぞれの芝居小屋で時期を同じくして「助六」を演じる。江戸芝居イチ「粋な男」という役どころの助六は、成田屋市川團十郎が代々演じてきた演目で、上演すれば必ず大入りになるお家芸。対して、”圧倒的劣勢”と見えた菊五郎の助六に人々はなぜか沸き立ち、團十郎の助六は途中で打ち止めになってしまう――(「牡丹菊喧嘩助六」)。
文政3年。助六で喧嘩別れしたままの團菊。「菅原伝授手習鑑」寺子屋の段で難しい見せ場を持つ松王丸を演じることになった團十郎は、なんとか菊五郎の助六をしのぐ工夫(その役者ならではの演じ方)をしたいと悩む(「ためつすがめつ」)。
文政6年。共演こそ再開したが、いまだわだかまりの残る團菊を仲直りさせようと奔走するは、立作者の鶴屋南北。「浮世柄比翼稲妻」で二人を配役するが、鞘当の場面に差し掛かると、二人はなんと舞台上で真剣を抜いてしまう(「伊達競坊主鞘當」)。――他3編
幼い頃から歌舞伎や演劇に親しみ、どっぷり浸かってきた著者が全身全霊で書き上げたデビュー作にして会心の勝負作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pohcho
55
時は文化文政。江戸歌舞伎の全盛期。芝居町きっての色男、三代目尾上菊五郎と由緒ある名跡を継いだ七代目市川團十郎。歌舞伎界の2大スターが同時期に別の小屋で「助六」を演じる。絢爛豪華なスターの競演から始まって、犬猿の仲の二人のライバル関係は続くのだが、後半はお金のことしか頭にない座元と劇作家鶴屋南北が対立し、芝居小屋や奉行まで巻き込んでの大きな騒ぎに。最後は胸のすく結末だった。史上最年少でのオール読物新人賞受賞作。テンポのいい文章で江戸歌舞伎の世界が生き生きと描かれて、面白く読んだ。2025/03/28
まちゃ
54
歌舞伎には縁遠いですが、それでも作者の歌舞伎に対する熱量が伝わる作品でした。現代まで受け継がれる歌舞伎の名跡。文化文政の尾上菊五郎と市川團十郎の競演/共演、楽しめました。2025/03/16
rosetta
35
★★★☆☆2022年第102回オール読物新人賞を最年少の19歳で受賞した作者が翌年、翌々年に発表した短編に書き下ろしを加え満を持しての単行本デビュー。子供の頃から芝居好きとかでかなりの知識をお持ちとお見受けする。若いのに随分と渋い趣味だこと。話は三世菊五郎、七世團十郎と鶴屋南北を軸に江戸の芝居小屋が舞台。特に仕掛けとかがあるわけではなく淡々と普通の物語2025/02/20
nyanco
35
19歳で史上最年少でオール讀物新人賞受賞された本作 永井紗耶子さん、畠中恵さん、門井さんと帯の推薦文も凄い。 歌舞伎にまつわる短編6篇、どれも読みやすい。 臨場感があり、その場に居合わせたかのような文章。 これからどう化けていくのかが楽しみな新人作家さんだと思います。 #NetGalleyにて2025/01/13
葵
33
江戸歌舞伎の三代目菊五郎、七代目團十郎、鶴屋南北を中心とした連作短編集。江戸言葉や古めかしい言い回しに最初は読み辛さを感じたが、20ページほど進むと慣れ、リズミカルな文章が落語を聴いているような心地よさとなった。役者と作家の心意気が、活き活きと描かれていて面白かった。ただ、登場人物は皆実在の人物で、史実から大きく離れない話であり、キャラの魅力はその人物の魅力による所も大きいと思うので(それでも魅力的に描いているのが凄いからこその評価だろうが)作者自身のオリジナルキャラクターによる時代小説を読んでみたい。2025/03/09
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