内容説明
〈誰かが私たちの助けを待っている!〉
なんでもない偶然、どうってことない超能力、たわいもない親切で、奇想天外な物語が回っていく!
『フィフティ・ピープル』『保健室のアン・ウニョン先生』でおなじみの韓国の人気作家チョン・セランがつむぎ出す、愉快、痛快、やさしさいっぱいの冒険譚。
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科学者のジェイン、アラブの建設現場で働くジェウク、年の離れた高校生の末っ子ジェフンの三姉弟。
海でのバカンスから戻ると突然、超能力を持ったことに気がつく。
身に覚えのない、しかも〝超〟というにはあまりにもビミョーな〝能力〟に戸惑う3人。そして、「誰かを救え」というメッセージと小包が届く。
──いったい誰を……どうやって救えと!?
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【目次】
J・J・J三姉弟の世にも平凡な超能力
あとがき
訳者あとがき
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
azukinako
40
どこかで誰かが誰かを救っている。それは超能力を持っているからできることなの?三姉弟ははからずも持つことになったちょっとした超能力で、それぞれのミッションである人助けをするのだが、うん、たぶん、君たちはきっとその超能力がなくても(もちろんあったほうがいい)、たぶん誰かのために動くのだろうと思う。そういうことだとおもう。ふむふむ。2025/01/05
星落秋風五丈原
27
人とは違う能力を身に着けたのだから、当然普通ではいられない。誰かを救う立場に置かれる所までは王道設定だ。だが、ここからが違う。王道ヒーローものでは、ここから自分たちだけしか気づかない悪の組織や、混沌とした世界を救うのだが、3姉弟が救うのはそれぞれメッセージに書かれた1、2、3名だけである。それでは広く世間に知られないし、たったそれだけしか救えない超能力は、確かに平凡かもしれない。2025/02/25
二人娘の父
10
出版年は2014年。初々しさ溢れる理由が分かった。出版順で言えば『アンダー、サンダー、テンダー』と『保健室のアン・ウニョン先生』の間にあたる。この頃の作風もとても好きです。誤解を恐れず言えば「伊坂幸太郎み」を感じる。本作の主人公3人姉弟のキャラクターの魅力たるや!こういう人物造形の基に実在の人物がいるという秘密も語られているので、それも注目。私が特に魅かれたのは3人のオモニ。登場人物すべてが愛おしく感じる、そういうヒューマンドラマを読みたい人には、超おすすめです。すんみさんの翻訳もGood!!2024/12/24
miu
7
頭文字Jの三姉弟に突然備わった超能力。三者三様それぞれの「超能力」でsaveするミッションを完遂する三姉弟のたくましいこと!帯にあるように使いどころがわからないどうってことない超能力。偶然が必然だったりするように、すべてはまるっと繋がっている。読めば読むほどチョン・セランの魅力にハマる!2025/04/02
三日月
7
原題は『ジェイン、ジェウク、ジェフン』っていう三姉弟の名前。できれば邦題もそのまんまにしてほしかった。 科学者の長女ジェイン、アラブの建設現場で働く長男ジェウク、親に無理やりアメリカ留学させられた高校生の末っ子ジェフンの三姉弟にある日突然超能力が。 身に覚えのない、しかもビミョーな超能力に戸惑う三人のもとに『誰かを救え』と小包が届く。なんともかわいいファンタスティックで、愉快痛快、奇想天外な物語。 とにかく何にも考えずに読めて ほのぼの温かい気持ちになった たまにはこんな優しいファンタジーもいい 2025/01/17