内容説明
もうあかんくなったら、読んでください
家族が終わりそうなので、
あなたに頼みたいことがあります。
母・ひろ実の大手術を機に、家族の日常が一変する。
タイムスリップした祖母は、冷蔵庫にある食材をひたすら醤油で煮込み、同じ味にした。
祖母の心ない言葉に、ダウン症の弟は床を踏み鳴らし、自室にこもる。
追い打ちをかけるように、壊れる家電、手続きの山、おしっこをまき散らす犬、鳩の襲来……
次々と降りかかる「もうあかんわ」に気力も体力も削られる長女・奈美。
「人生は、ひとりで抱え込めば悲劇だが、人に語って笑わせれば喜劇だ(本文より)」
を体現した37日間のサバイバル日記。
理不尽なこの日々を、笑い飛ばしてもらえたら、わたしはそれで救われる。
ただ、笑ってほしい。悲劇を、喜劇にする、一発逆転のチャンスがほしい。
もうあかんわと思っている、すべての人に。
わたしのもうあかん毎日を、小さく高らかに捧げたい。
もうあかんわ。
ーー本文より
解説は頭木弘樹さん。
【電子特典付】
2021年にイベント用に自主出版した『言ったことのない名言』より、
「メンゴ士、求ム」と「生き意地」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
31
岸田奈美さんの父親は幼少の頃に他界した。母は心臓病で車いす生活。弟はダウン症に知的障害と肥満症。祖母は認知症で時空が飛ぶ。ついでに、犬はドッグトレーナーからサジを投げられるレベルの傍若無人。そして近所の人の冷たい目「あなたがしっかりしないと駄目なのよ」。辛い、人生が詰んでいる。そんな状況下で書き続けた日記エッセイ。これが、べらぼうに明るくて、超ポジティブ。そして面白い。ノリツッコミで自身を励ましている。お涙頂戴とは無縁の世界。励まされた。これからも作者を応援していこうと思う。2025/03/14
えりこんぐ
27
最悪な日常(失礼)を描くことで笑いに変える日記。こんな状況なのに、読者に元気をくれてありがとう。お忙しいだろうけど、奈美さんは絶対に車の免許を取られた方が良いと思う!【図書館】2025/10/11
yuu*
20
【007】大好きな岸田奈美さんのエッセイ。SNSで公開されていたのを読んだので知っている話もあったけど、何度読んでもいい。今同居の高齢の母の生活について心配事やイライラや諸々があって、そのことでいっぱいなんだけど、ああ、岸田さんのおばあちゃんも同じなんだなあと思うと少し心が軽くなった。重い気持ちになったら何度でも読もうと思う。2025/02/16
ふわりん
10
岸田さんのエッセイはよく読んでるので、もうだいたいのことはわかってるつもりだった。でもお母さんの手術や病気のことは大変だったんだなぁとは思ってたけど、実際細かく経緯を知るとそんな言葉では全然表せないほどの壮絶な出来事だったんだと初めて知った。しかも宇宙人のおばあちゃんがいて心優しいマイペースな弟さんも一緒で、岸田さんは稼ぎ頭で、もう大変!後書きで頭木さんが書かれてるように、岸田さんはどんなに大変なことでもユーモアに訴え、絶対に逃げ出さないで走り続けている。これからもどんどん書いて私たちに帽子を拾わせてね。2025/06/20
Mayuko Kamiwada
9
岸田奈美のエッセイ本。著者が日々の日記を綴った内容で「もうあかんわ」と思うものが詰まっている。母親の大手術にタイムスリップした祖母、ダウン症の弟とともにサバイバルな日々を過ごす。理不尽すぎる「もうあかんわ」に著者は気力・体力ともに削られるけれど、だからこそそんな日々を笑い飛ばそうと思える。2025/07/19




