泰平を演じる - 徳川期日本の政治空間と「公然の秘密」

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泰平を演じる - 徳川期日本の政治空間と「公然の秘密」

  • ISBN:9784000615426

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内容説明

徳川の泰平は,徳川政府の大名に対する厳格な支配によってもたらされたものではなく,各々の分に応じた義務を遂行する,または遂行しているように見せかける双方の「演技」によって作り上げられていた――様々な統制や制度の中でどのように政治が動いていたのかを,当時の人々の政治行動の理解のしかたに即して解き明かす.

目次

序論
徳川時代の封建空間の政治/国民国家の空間とその語り方/本書の構成
第1章 政治の地理学
帝の権威とその空間/戦国大名の領域国家の伝統から始まった徳川家と大名の権力/徳川と大名の権力の起源――武家の伝統/村の空間/職業的な身分と空間/ジェンダーと空間/「内」と「表」における呼称とアイデンティティ/日本の地方としての「国」と大名領国としての「国」
第2章 巡見使と情報収集における演技
徳川の巡見使/外様大大名領における巡見/一門会津領における巡見/譜代小大名の田原領での巡見/巡見と大名への処罰/大名による村々の巡見/徳川に送られた他のデータ
第3章 ゾンビの政治
跡継ぎ不在による領地没収――一六〇〇―一六五〇年/死の床における判元見届の儀式/秩序を演じることで秩序を守る/領分内での「表」の維持と身分の関係/徳川との非公式の交渉/「内証」と「表」の出来事を記憶する
第4章 境界争い
山内氏と伊達氏の境界争い/沖之嶋をめぐる争いの始まり/篠山をめぐる争い/徳川の評定所における対立の政治/田原領民の越訴
第5章 神となった大名
政府と宗教の関係/変わりゆく神道理解/一七世紀の覇者たちの神格化/一七世紀の大名の神格化――保科正之の場合/徳川後期の神格化/土佐領の藤並神社/三宅家にとっての大名の神格化/「分」の限界を試す
第6章 複数の歴史
天皇称号の政治化/水戸『大日本史』――禁裏「表」に向けた日本史/『本朝通鑑』――徳川「表」の日本史/『徳川実紀』――徳川「表」の家史/大名「表」の歴史
結論
近代における「表」と「内分」の再構成

日本語版へのあとがき
監訳者あとがき
訳者あとがき
参照文献
キーワード

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takao

2
ふむ2025/04/03

Junichi Watanabe

2
#読了 。アメリカ人日本研究者による江戸時代の政治文化論。言わずもがな江戸時代は260年余りも泰平な世が続いた。それは、如何に創られたか。完全な封建制度と、将軍から下々までが分をわきまえ立場を逸脱せず表と内を使分け、まるで政治舞台で己が役を忠実に演技しているからだと。 これは、「本音と建前」「内と外」「公然の秘密」等、その空間の状況において臨機応変に対応する現代の考えにも通じてくる。 研究書よりなので難しかったが、読む価値あり。2022/12/27

𝔸𝕐‌𝔸𝕂‌𝔸🧸

0
🔴日経新聞の紹介で興味を持ち読んでみましたが、思ったより学術的でした😅 徳川家光の時代の幕政は数多くの大名の改易を行ない、浪人があふれ、由井正雪の乱を引き起こす契機となりました。以後、幕政はむやみやたらに改易を行なわなくなり、暗黙の了解で「表」(外面)が問題なければ、「内証」(事実)を見て見ぬふりをしていたということについて、いくつかの事象から論じています。2022/11/03

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