内容説明
若い頃の友人に再会した作家は、「最期の時間を一緒に過ごしてほしい」と頼まれる。友人は末期がんだった。そして、心の準備ができたら薬を飲んで死を選ぶという。思いがけぬ日々のなかで作家が見たものは──。全米図書賞受賞作家による感動作。ペドロ・アルモドバル監督映画原作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
73
『友だち』の著者シーグリッド・ヌーネスさんの小説で、『友だち』と同様、共感力豊かで好感のもてる語り手が重い病気の友人について語る。彼女を見舞ったあとで「病と向き合うこと。わたしはこれをうまくできたためしがない」と言う柔らかな率直さ。友人への関与を深めつつも死の孤独(「他者化された者。死を前にした人以上にそういう存在はいない」)を思うが、最後には一番親しい友ではなかった二人が共に過ごすうちに「あなたにこんな気持ちを抱くなんて」と言うに至る。『友だち』と同様友の死は記述されていない。とても味わいの深い作品。2025/03/12
がらくたどん
61
原題は「あなたはどんな思いをしているの?」だが一部の最後でそのフランス語の含意が示される。「あなたの苦しみはなんですか?」小さな部屋を借りて癌で余命宣告された旧友を見舞う一人の女性。生来の傾聴の人である彼女に対し行き会う者たちは自分の生の軌跡を語る。古い恋人・家主・猫までも!この取り留めない第一部の最後で物語はようやく軌道を定める。私を看取って欲しい。恐らく安楽死を準備している余命僅かな旧友の申し出は彼女をどこに連れて行くのだろう。「死者を悼む者に幸あれ」看取りが終わる恐怖に立ち竦む彼女に降る福音は温かい2025/03/25
ヘラジカ
46
我が魂の作品『友だち』の作者が生んだ姉妹作にしてもう一つの傑作。病に蝕まれた友人との最期の交流が核にあり、合間には老いや死、他者との関係性、血縁という呪い、果ては黙示的な世界観まで、広範な分野を文学や映画などの芸術を絡めてエッセイのように語っている。相変わらずともすれば衒学的とも評されそうなスタイルだが、深刻なテーマを温かなユーモアを込めて綴る筆致は、軽やかで妙に心地よい。何一つ明確な答えを見つけられるわけではないのに、厭世的な気分になるどころか不思議と前向きな気持ちが芽生えてくる。本当に大好きな小説だ。2025/01/23
星落秋風五丈原
34
ペドロ・アルモドバル監督により映画化。メインは死期を迎えた友人との交流だが、それ以外に語り手たる主人公の心情が挿入される。内容のシリアスさに比べて割合淡々とした印象。2025/05/13
Hiro
27
人の死という重いテーマの作品だけど、ユーモアもあり暗闇に沈むような感じはない。原題What Are You Going Throughは、フランスの哲学者ヴェイユの言葉から引用しているらしい。だから、作品が哲学的?映画版を観てみたい。2025/05/12
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