岩波新書<br> 孝経 儒教の歴史二千年の旅

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岩波新書
孝経 儒教の歴史二千年の旅

  • 著者名:橋本秀美【著】
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 岩波書店(2025/01発売)
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  • ISBN:9784004320500

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内容説明

東アジアで『論語』とならび親しまれてきた『孝経』は,儒教の長い歩みを映し出す鏡のような存在だ.古代における経典の誕生と体系化,解釈学の興亡と皇帝によるテキスト編纂,失われた書物をめぐる日中の学問交流,そして「孝」の教えをめぐるせめぎ合い――小さな古典から,儒教の大いなる流れをスリリングに案内する.

目次

序 章 『孝経』が映しだす儒教の歴史
前近代東アジア共通の「教科書」
日本における受容は奈良時代にさかのぼる
儒教の歴史を映しだす「鏡」
『孝経』は親孝行を説く経典?――なぜ読まれつづけたのか
書物の交流史として
「忠孝」の理想とそのジレンマ
第一章 書物の誕生と鄭玄による体系化――漢代まで
儒教経典はどうかたちづくられたか――孔子とその弟子,曾子との問答
「仁」と「順」と「孝」
四書五経と『孝経』
漢代の学術と儒学
皇帝の学び・官吏の学び
『漢書』「藝文志」から分かること
孔子の旧宅から見つかった『古文孝経』
「古文vs今文」――儒学史の幻想
『今文孝経』と『古文孝経』は章構成が異なる
鄭玄による儒学の体系化,テキストと注の一体化
鄭玄の『孝経』注釈が成し遂げたこと
鄭注の普及
テキストは変化する
日本で再発見された鄭注――『群書治要』という書物
第二章 『古文孝経』と孔安国伝の謎――魏晋南北朝時代
反「鄭学」の台頭――漢代以後の儒学史の流れ
「経学」と「実学」の並立体制
孔安国による『古文尚書』『古文孝経』注釈――孔伝
魏晋南北朝期の朝廷と『孝経』
貴族たちの祈り
孔伝の再出現
隋の文帝と蘇威
絶好の資料――劉炫『孝経述議』
日本で流行する孔伝
太宰春台の校定本が中国に逆輸入される
孔伝と『管子』
相互性の重視と人間の自然的感情
孔伝と『孝経述議』は何をもたらしたか
第三章 テキストが確定される――唐,玄宗御注の成立
石台孝経と開成石経
今日まで伝わるテキストの確立
唐代の儒・仏・道三教並存体制――『孝経』『金剛般若経』『老子』
『五経正義』――標準テキスト編纂の意味
「革新」と「伝統」のせめぎあい
劉知幾vs司馬貞
玄宗皇帝自身による注釈
開元と天宝,二度のプロジェクト――激動の玄宗朝
『孝経注疏』――玄宗御注と元行沖疏
経典と『経典釈文』の印刷――北宋の整理(一)
館 疏――北宋の整理(二)
開元本は日本にのみ遺る――文献伝承における「累積」と「上書き」
鄭注・孔伝から御注へ
第四章 使われる経典に――宋から明清へ
古文の復活
古文の分章・章順序
注から評へ
鄭注と孔伝の散逸
朱子の『孝経刊誤』
『孝経刊誤』の余波
董鼎・呉澄
民間への応用
明清皇帝の聖諭
明末の『孝経』復興運動
黄道周
清代の議論と研究
江戸時代の『孝経』研究
鍬形蕙斎と葛飾北斎
鈴木順亭と林秀一
第五章 『孝経』を読んでみよう
主要参考文献
図版出典一覧
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

19
新書にありがちなサブタイトルとメインタイトルを逆にすべき例。『孝経』を中心にして見る儒学学術史であり、儒学経典史といった趣。最後の章で鄭注に沿った経文全文の翻訳があるほかは『孝経』の内容そのものはあまり問題にしていないが面白い。今文・古文の対立の図式は清末の政治・学術状況を漢代に投影したものであるとか、鄭玄と王粛の学術上の位置づけの話、特に王粛の議論が意外と穏当であり、だからこそ漢代以来の礼制を受け継ぐ南朝で受け入れられたとか、孔伝が実は『管子』を多く利用しているといった指摘が刺激的。 2025/01/21

電羊齋

16
本書の内容をまとめると『孝経』を軸にした儒教二千年の歴史といったところか。基本を抑えつつ、興味深い指摘も多い。なかでも、今文・古文の対立といわれるものは実は清末民国の政治・学術状況が漢代に投影されたものであるという指摘が面白い。そのほかにも、古今の『孝経』についての議論、唐の玄宗御注、元々為政者の姿勢を示す物であった『孝経』が宋から明清時代に民衆教化のために使われた歴史、明清代での『孝経』の位置づけ、日本での『孝経』の受容と刊本など話題が豊富。巻末には鄭注を元とした『孝経』の翻訳が掲載されており有用。2025/02/09

夜桜銀次

4
第4章までは、中国の歴史の中で、孝経が各々の注釈者によって、どのように解釈されてきたかを追う。門外漢のため追いきれなかったが、今文鄭注と古文孔伝と玄宗注だけ押さえておこうかな。 もともと、支配層が実践する「考」が、民衆も実践すべきとされていくあたりが分かったのも収穫だった。 また、孔伝は『管子』の内容が多いということに驚いた。 第5章で本文(今文)と鄭注に沿った著者訳がある。 同著者による『書物誕生「論語」』があるので、これも読みたくなった。2025/03/20

えふのらん

3
儒教の、科挙の裏の裏、孝経を軸にした註釈者の二千年もの殴り合いを堪能できる本。後漢の鄭玄、魏の王粛、唐の玄宗、南宋の朱子らが先行する註釈に異を唱え、時に修正し、時に新たに付けてしまう様が複雑な関係性と共に描かれている。途中で鄭註に疑問をもった劉知幾が真偽問題に発展させる場面などは今と変わらない文献学のあるべき姿を示しているようで面白かった。儒教というと孝悌忠恕の印象が強いが、そういった上から下への力の流れとは別に文献解釈の精度をめぐる緊張感が常にあったというのは意外だ。2025/04/23

錢知溫 qiánzhīwēn

3
經書…先秦期に成立した文獻は衆多の人々によって累層的に成立したものであり、そこに一個人の統一した意思思考を認めることはできないこと、輯佚書と古書の引用、それらをどう取り扱うべきか、また寫本時代における經典受容の狀況、書物流傳の物質的條件を勘案することなど中國古典を取り扱うで基礎的な認識が提示されている。  《孝經》が成立したと思われる戰國期から《春秋》とともに孔子の精神の精隨を備えた至高の經典と尊ばれた東漢に至るまで、書物の流傳・識字層は限られており、《孝經》はあくまでも統治者のための敎養であった。2025/03/13

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