岩波新書<br> アメリカ・イン・ジャパン - ハーバード講義録

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岩波新書
アメリカ・イン・ジャパン - ハーバード講義録

  • 著者名:吉見俊哉【著】
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  • 岩波書店(2025/01発売)
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  • ISBN:9784004320487

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内容説明

一八五四年,日本人に映る世界の見え方は一八〇度転換した.アメリカ人はこれを「ペリー提督の遠征」というが,私たちは「黒船来航」と呼んだ.同様に一九四五年の米軍がおこなった「空爆」を,日本人は「空襲」と呼ぶ.さまざまな出来事や事象を,日本,アメリカそれぞれのまなざしの下にとらえ「日本の中のアメリカ」に迫る.

目次

はしがき
イントロダクション
 アメリカ・イン・ジャパン──非対称的なクラインの壺
 アメリカで、「日本の中のアメリカ」を語る
 膨張し続ける自由
 「無主の大地」を所有する自由
 太平洋の先にある隣国
 西漸運動はどこまでも
 ユーラシア東端からの離脱
第1講 ペリーの「遠征」と黒船の「来航」──転位する日本列島
 老提督の出航──ノーフォークの港から
 テクノロジーを見せつける外交
 蒸気船航路──東に向かって西の果てへ
 日本人を観察し、日本海域を調査する
 米日交渉というパフォーマンス
 日本人によって描かれるペリーと黒船
 黒船は日本人を乗せてアメリカへ
第2講 捕鯨船と漂流者たち──太平洋というコンタクトゾーン
 ナンタケット島の港から
 捕鯨船員たちと太平洋の怪物
 鯨を追ってジャパン・グラウンドへ
 漁師万次郎、鳥島に漂着する
 ジョン万次郎、アメリカと邂逅する
 コンタクトゾーンとしての小笠原諸島
 占領され続ける西太平洋の島々
第3講 宣教師と教育の近代──アメリカン・ボードと明治日本
 宣教の国
 アメリカン・ボードと海外への宣教
 アメリカン・ボードと新島襄の同志社、女子教育の展開
 熊本バンド、横浜バンド、札幌バンド
 神の絶対性の下での国民教育──森有礼
 内村鑑三──拝金主義と人種差別
第4講 反転するアメリカニズム──モダンガールとスクリーン上の自己
 今や、アメリカ的でない日本がどこにあるか
 浮上するモダンガールと職業婦人
 ショップ・ガールたちの両義的身体
 「或る女」がさまようコンタクトゾーン
 スクリーンの中のナオミの増殖
第5講 空爆する者 空爆された者──野蛮人どもを殺戮する
 想像される日米戦と敵国への羨望
 まなざされる対象としての敵国日本
 上空から東京を焼き尽くす
 「猿」としての日本
 「鬼」としてのアメリカ
 大空襲とまなざしを失う人々
第6講 マッカーサーと天皇──占領というパフォーマンス
 焼け跡に蘇る表情
 新たなる「黒船」──ダグラス・マッカーサーの日本
 占領期日本における「マッカーサー」の不在
 舞台上の「天皇」と舞台裏の「元帥」
 「天皇」としての「元帥」を願望する
第7講 アトムズ・フォー・ドリーム──被爆国日本に〈核〉の光を
 老将は去り、部下が核のボタンを握る
 アトムズ・フォー・ピース
 日本の反核運動を鎮静化させる方法
 日本のメディア産業と原子力平和利用
 正力松太郎と「だれにもわかる原子力展」
 原子力平和利用博覧会の全国展開
 ヒロシマを原子力平和利用のモデルにする
 被爆国民だからこそ原子力を推進する
第8講 基地から滲みだすアメリカ──コンタクトゾーンとしての軍都
 米軍基地周辺のひとびと
 世界に拡散する米軍基地
 日本軍の街から米軍の街へ──六本木と原宿
 基地の街としての湘南海岸
 地方都市における基地と観光
 基地=観光の島としての沖縄
第9講 アメリカに包まれた日常──星条旗・自由の女神・ディズニーランド
 アメリカン・ナショナリズムと星条旗
 世界に増殖していった「自由の女神」
 日本で増殖する「自由の女神」
 ディズニーランド──戦後日本を包み込んでいくアメリカ
 ファンタジーとしてのディズニーランド
 再演され続ける「アメリカ・イン・アメリカ」
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

83
ハーバード大学のアメリカで、「日本の中のアメリカ」について講義した記録。日本がアメリカと出会った黒船来航からディズニーランドと自由の女神のアメリカに包まれる第9講まで。アメリカに媚びへつらうことをやめなかった日本人のアメリカ論だ。戦前も戦後も日本人は、韓国や中国などのアジア人を蔑視し、自分たちはアジア人ではないことを証明しようとし続けてきたという指摘が面白い。今後も日本人にとってアメリカは価値の規範であり続けるのか、トランプ大統領の横でニコニコと微笑む赤澤経済再生担当大臣の顔がチラつく、今日この頃である。2025/07/01

ピンガペンギン

27
ハーバード大での講義に加筆したもの。著者は白人の学生が多く聴講するのを期待していたが、聴講者は留学生が多かったそうだ。内容からして無理もない気がする。一部しか読んでいないがメモ。朝鮮戦争時、米軍の慰安地として奈良が選ばれた。JTBは、軍人のために多くの観光旅行をあっせんした。観光史としてこの時期は無視されているという。全国で米軍のいるところには、歓楽街ができ、生活のために身を売る女性が数千人規模でいた。ディズニーランドは開拓の歴史を振り返るように(アドベンチャーランドなど)なっている。2025/07/09

ta_chanko

25
ユーラシア東端の国から、太平洋を挟んでアメリカと向かい合う国へ。黒船来航以来、日本の目指す国家像は大きく変化。古くは隋唐帝国への憧れから、アメリカへの憧れへ。明治維新以降、現在に至るまで西欧化というよりもアメリカ化が進展。一方のアメリカは、西漸運動の延長として日本に到達。先住民・ハワイ・フィリピンを征服し、捕鯨および対中国貿易の拠点として日本へ。原爆投下も先住民虐殺と同じ文脈か?互いの思惑が交差しながら、日本のアメリカ化が進んでいく。その象徴はディズニーランド。もはや日本全体が戯画化されたお伽の国?2025/05/08

風に吹かれて

19
 大西洋を渡って北米大陸にやってきてイギリスから独立したアメリカ人は西漸して大陸を制覇。土地を所有するという観念なしで生活していた先住民を排除(含殺戮)し土地に対する所有権を主張した。西漸主義の眼は太平洋に向く。黒船来航、敗戦と占領、アメリカンカルチャー…。  占領期の米軍駐留による米兵やその家族の居住、彼らのため風俗や商業施設などが今につながる「街」になっていく。反米軍感情が高まると本土からアメリカが統治していた沖縄のさらなる軍事基地化が進められる。 →2025/05/13

花男

17
黒船来航、太平洋戦争、敗戦、GHQによる占領、日米安保条約、現在に至るまでやはりアメリカという国を我々自分たちは把握しきれてないように思うし、無理なのかもしれない。。もともと国ではないし、移民、独立も経験してない日本人には感覚が違いすぎる。 2025/05/02

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