内容説明
ライフ・イズ・ワンダフル!
「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズの著者による、感動の人間讃歌!
仕事一筋で家庭を顧みなかった報いなのか――。ファミレス経営会社の管理職を勤め上げ、定年退職したその日、里村乙彦を待っていたのは妻からの離婚届だった。絶望の中で酒に溺れた里村は、娘に促されて再起を決意する。場所は日本第二の高峰、南アルプス北岳にある肩の小屋。標高三千メートルの過酷な環境の中、二代で山小屋を守る管理人親子と個性的なスタッフたちに見守られ、里村は苦難の中で人生のやり直しを目指す……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
86
日本で二番目に高い山、北岳。同山を舞台にしたK-9シリーズとは違って、北岳山荘で働くことになった一人の男の再生の物語。65歳でめでたく定年退職を迎え花束とともに家に帰った里村。待っていたのは妻からの離婚願い。妻は出て行き、酒浸りの日々の中で娘からの再就職を問う電話。意を決して北岳で働く決心をした里村。体力的にキツイ、やっていけるのか?だけど山小屋のメンバーは厳しくも温かい。皆、何かを背負ってここにいる。作中にひょっこり顔を出す、K-9の人たちが何やら嬉しい。人生の再出発はどこからでも出来るんだな。2025/04/15
み
25
さくさくと♪リタイア後のこと、あたしも考え始めなきゃ。夏美さん達が、ちらっと登場したのが嬉しかったです。あちらのシリーズの新作読みたいな。2025/05/03
蒼
23
「生まれて来てすみません」と言ったのは太宰治だったか(元ネタは別にあるようだが)、そこまで深刻では無いにしろ後悔や苦痛を背負って日本二番目の高さの北岳の山小屋で働く人々は、スタッフや登山客達との「巡り合わせ」の中で背中を押してくれる太陽に力を貰って人生を生き直して行く。そうなのだ、背を向けるではなく、背にうける、のだ。なんと力強い言葉だろう。生きていいのだ、ここを居場所にしていいのだと言ってくれている、そう思わせるのは自分の努力があるからではあるが、登場人物達に幸あれと祈る物語だった。2025/07/28
Nao Funasoko
20
主人公と思しき人物が65歳とほぼ同世代のアル中熟年離婚オヤジでなんとなく身につまされる思いで読みはじめる。(^^;) 山小屋のスタッフはなんだかんだいいながらみんないい人だったりで、最後は山へ行けば全て浄化されてしまうかのような 予想通りのハッピーエンドになんとなく鼻白む。WW ただ、北岳には行ってみたくなった。2025/03/13
onasu
18
南アルプス北岳を舞台にした、著者のもう一つのストーリー。定年退職の日に離婚を告げられた里村乙彦(65歳)が、新米の山小屋スタッフとして先輩の若者にどやしつけられながらも、ひとシーズンを過ごしていく。 展開は想像の域だが、山小屋スタッフには事情を抱えた者もいるというが、そこに定年離婚で自暴自棄になっていた者を充てたというのが目新しい。 先は見えても、山小屋の中で話し手のバトンが渡っていく各話はおもしろいし、K-9の面々が顔を出すのも楽しみで、紙面では馴染みのある北岳のひとシーズンは、あっという間でした。2025/04/02
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