講談社現代新書<br> 持続不可能な財政 再建のための選択肢

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講談社現代新書
持続不可能な財政 再建のための選択肢

  • ISBN:9784065384688

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内容説明

世界最悪の借金大国
この国はもうダメなのか?

私たちが迫られる「究極の選択」
現役世代へのツケ回しはもう限界。「破綻」を避けるために何ができるのか
そろそろ本当の話をしよう

我が国の財政運営は、このままではこの先、何かのきっかけで、いつ何どき、行き詰まってもおかしくない状態にすでに陥っています。まさに「持続不可能」なのです。しかも、「これまでに国として積み上げてきてしまった借金、国債残高の大きさ」と、「厳しい人口減少傾向に象徴されるように国力が足許、疑いようのないほどに低下傾向をたどっていること」を合わせれば、ついに「行き詰まった」ときに起こる事態は、我が国自身が第二次世界大戦の敗戦直後に経験した苛烈な国内債務調整に匹敵するものにならざるを得ないことは容易に想像がつきます。
では、どうすればよいのでしょうか。どうすれば、私たちのこの国の財政運営を立て直せるのでしょうか。私たちの後に続く世代のことを考えれば、「どうせ無理だから」などと投げ出すことは決して許されません。本書を手に取ってくださったお一人おひとりに、ぜひともご一緒に考えていただきたいと思います。

本書の内容
まえがき
第1部 「財政再建から逃げ続ける国」の行き着く先
第2部 シミュレーション日本の財政はどうなるか
第3部 聖域なき歳出削減何をどう減らすのか
第4部 公平・公正な税制と納得できる税負担を考える
第5部財政再建アラカルトあなたは何を選びますか?
あとがき

目次

まえがき
第1部「財政再建から逃げ続ける国」の行き着く先
1 -1 「財政事情は世界最悪」の国がこれまで財政破綻せずにこられた理由
「何も起こらない」のは利払費が増えずに済んだから/放漫財政を助長した日銀の国債買い占め
1 -2 「利払費圧縮」の代償は日銀財務の悪化
コロナ危機後の高インフレで金利は上昇局面に/日銀を待ち受ける債務超過の危機/利上げすれば国の利払費も膨張
1 -3 このまま逃げ続けた果てに待ち受ける事態
Box1 利上げで日銀はなぜ赤字や債務超過に転落するのか
Box2 国家のデフォル
第2部シミュレーション日本の財政はどうなるか
2 -1 内閣府のバラ色の「経済・財政試算」のカラクリ
「財政再建努力など不要。財政は自然に改善する」という内閣府の「超」楽観的な予測/内閣府とは対照的なOECDのシビアな予測/内閣府の不自然かつ
恣意的な前提条件とは
2 -2 鍵を握る新規国債・借換債の発行金利と条件
「国債の平均残存期間は約9年だから当面利払費は増えない」は誤り/内閣府と財務省の利払費の見通しには5~8兆円もの差が
2 -3 金利シナリオ・国債の調達パターンごとの利払費を独自試算
4通りの金利シナリオ-市場主義経済国を死守/国債発行年限の配分は3パターン/短期国債中心でも節約できる利払費は限定的/国債償還期間の短期化で膨張する財政破綻時の資金ショート額
2 -4 高成長による税収増で財政再建できない理由
独自試算でわかった「税収増でも財政再建は無理!」/「インフレで財政破綻は回避できる」という甘言に騙されない
2 -5 財政収支均衡達成で利払費はどれだけ節約できるか
「財政収支均衡」とは「収入の範囲で生活する」こと
Box3 財務省公表の利払費の仮定計算の分解の推計の手法と考え方
Box4 新規国債発行ゼロとした場合の利払費と国債発行額の試算結果
第3部聖域なき歳出削減何をどう減らすのか
3 -1 医療・介護・少子化対策
3 -1 -1 聖域にはできなくなった社会保障制度
3 -1 -2 増加の一途をたどる医療費
3 -1 -3 もはや現役世代の仕送りは限界
3 -1 -4 もし公費が3割カットされたら医療・介護はどうなる?
3 -1 -5 医療保険を持続可能にするには
3 -1 -6 2040年に約1000万人が要介護状態に
3 -1 -7 2040年に介護保険料と自己負担はどれだけ増えるのか
3 -1 -8 欺瞞の少子化対策
3 -2 年金
3 -2 -1 日本の年金は本当に「100年安心」といえるのか
3 -2 -2 国庫負担が3割削減されたら、年金はどれだけ減るのか?
3 -2 -3 第3号被保険者制度をまだ続けますか?
3 -3 地方財政
3 -3 -1 改革を避けては通れない地方財政制度
3 -3 -2 地方交付税制度のからくり
以下略

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

117
故・森永卓郎氏を筆頭とし、財務省批判が跋扈している。財務省が国民思いの善良な集団とは思わないけれど、でも、財務省の財政均衡主義が欺瞞だと言うのは本当かと訝る中で手にした一冊。本書は、日本の財政が持続不可能な危機的状況にあることを統計データやシミュレーションを通じて炙り出し、医療・介護・少子化対策・年金・地方財政などの抜本的な改革が必要なことを示す。冷静で客観的な分析は、著者二人の良心に基づく主張として、私は納得感を持って本書を読んだ。少なくとも、通貨発行益の魔術を弄する乱暴な議論より、私には腑に落ちる。2025/03/02

KAZOO

95
日本の現在の財政の状況を非常にわかりやすい図や数値で分析してくれています。最近のこのような本にしては、きちんと分析されているように感じました。ただ私は、本当に日本はここにあるように破たんへの道を進んでいるのかというとそこまでは悪くはないと思います。中国やアメリカの経済状況が非常に悪くならないかぎり、現在のままでもそんなに変わらないという気もします。私は法人税をもう少し上げてもいいのではないかと思います。また富裕層への金融取引課税も考えていくべきでしょう。2025/06/28

kan

26
データに基づき、長期的視野と現実的な具体策をもって公平公正な租税制度を訴える一冊。ハードな破綻を回避しソフトランディングを目指すためには国民全員で痛み分けし、皆が納得できる策が必要というのは正論だ。しかし氷河期世代ど真ん中としては、もう痛みは十分というのが正直なところ。「好き放題」の東京都にも言及があり、私立学校無償化やプロジェクションマッピングが例に挙がる。裕福な東京都は、特定の都立高校に限定し模試や英語四技能試験の受験料全額補助や無料校内予備校を開催。税金の使途として不適切だと、都立を辞めた今も思う。2025/05/20

さきん

24
今までの財政均衡派の本と違うのは、データをほぼ5ページごとに図示し、かつ恣意的なデータの加工が少ない。相変わらず残念なのは、103万の壁や消費税減税の現役負担軽減策をポピュリズムと決めつけたり、政府の借金の債権者はほとんど国民であること、政府の資産に触れていないこと、特別会計にも全く言及がないこと等が、やはり財務省の影響を多大に受けているのではないかと思わざるを得ない。現役世代を税制上守らないと、少子化対策及び経済活動自体を守る事ができない。2025/05/13

よっち

23
現役世代へのツケ回しはもう限界。「破綻」を避けるために何ができるのか。現実的な選択として何を考えるべきなのか提示していく1冊。これまでに国として積み上げてきてしまった借金、国債残高の大きさと、厳しい人口減少傾向もあり国力が疑いようのないほどに低下傾向をたどっていることを踏まえて、どうすれば財政運営を立て直せるのか。聖域なき歳出削減で何をどう減らすのか、公平公正な税制と納得できる税負担を考える内容で、改めて提示されるとなかなか厳しいというのが正直な実感でしたが、でもどこかで手を付けないといけない問題ですね。2025/03/05

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