内容説明
妻は自分のモノ。子供たちも自分のモノ。金を稼いでくるのは俺なのだから、家族は俺の言いなりにならなくてはならない。
郊外の住宅地に住む五十代の専業主婦、新井妙子。
ある日、隣の家で殺人事件が起きる。被害者の隣人が著名な大学教授だったこと、一人息子がいたことを、妙子は事件を通じて初めて知る。
平穏そうに見えた隣家で何が起きていたのかーー事件はやがて、妙子自身の家庭の闇をあぶり出していく。
『誰かがこの町で』で「同調圧力」を、『シャドウワーク』で「DV」を描いた異能のミステリー作家、今度のテーマは、この国に根深く残る「家父長制」!
目次
第一章 事件
第二章 波紋
第三章 拡散
第四章 事故
終章 そして氾濫が
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
343
佐野広実は初読。心理の綾をめぐらせたミステリー。物語の構成もそれ相応に複雑である。メインプロットは、隣家で起こった殺人事件。そして、もう一つの本筋は妙子の覚醒と自立への道程。そして、その背後には夫の篤史の前時代的な家父長的な人生観。さらには、弱者を虐げる社会の構想的な矛盾。こうしたことを一篇の小説に盛り込んでいるのである。新波建設の体質と社会矛盾については、さすがにこれだけで語るには無理があるだろう。ただそれを救っているのが、巧みな構成である。発端からバタフライ・エフェクトのように拡がりを見せてゆく⇒2026/05/28
いつでも母さん
154
ここまで不完全が揃った男がいるのが怖すぎる。人として最低過ぎる。だが、この夫の吐いた言葉に思い当たる節はある私だ。ここ迄とは言わないが、昭和ど真ん中に生まれた人なら多少は感じた事があるのでは?だが時は令和。私より下世代の両親がこれか・・よくぞ子供たちが真っ当に育ったものだ(そこ?)共感できることはほとんどないが、妻である妙子の最後の(行きついた)行動を私は否定できない。むしろ遅い!今作のモヤモヤむかむか感をどうしよう・・ハッ、これが氾濫と言うことか?2025/02/13
モルク
147
隣家でおこった殺人事件。主婦の妙子はその時隣家を訪れていた人物を目撃していた。その人が犯人か、そして妙子も知っている人なのか…ということよりも妙子の夫、超モラハラ男がやばすぎる。そんな男の言いなりになり子供を庇うことの出来ない妙子にもイライラ。男尊女卑がひどく、女房子供は奴隷、「俺が稼いだ金」「誰のおかげで」を連呼し子供が思うようにいかないと出来損ない扱い。こんな父なのに常識ある大人となった娘、息子は偉い。結末は…夫を可哀想とは思わないが刑事的なものはきちんと法的に裁いて欲しかった。2026/01/12
タックン
128
隣の家で殺人事件が・・・その犯人を目撃してしまった妻・妙子は?とかその殺人事件の真相は?よりもその妻の家族の問題を炙り出した話。 ここまでのパワハラで妻も子供も支配する夫っといのは極端過ぎて閉口した。 でも自分も昭和の人間なので妻や子供を少ないながらも自分の価値観で制限していたのでは?って考えさせられた。 ある意味ショックな話でした。 夫・篤史の勤務する建設会社の再開発で外国人居住地を排斥するって動きは、現在の移民推進の政府とは反対でこの作家さんの政治的背景の認識がずれてる気がした。2025/08/30
ma-bo
108
隣家で殺人事件が起きた。主婦の妙子は不審な人物を目撃していた。被害者は大学教授だった事、一人息子がいた事を妙子は事件を通じて初めて知る。題名の氾濫の家は隣家の事かと思っていたら...自身の家の闇があぶり出される話だった。2025/07/26




