内容説明
帝政ローマ時代の著述家プルタルコスが著した『対比列伝』(プルターク英雄伝)で実話として伝えられるアレクサンドロス大王のエピソードを軸に物語を組み立てた「アレクサンドロスの決断」(1986~87)と、フランス革命を舞台に実在した詩人アンドレ・シェニエの生き方などを描いた「革命の若き空」(1988~89)の2つの歴史青春小説を収録し、装いも新たに待望の発刊。
「アレクサンドロスの決断」--生死をさまようアレクサンドロス。親友である侍医フィリッポスが薬を届けに駆けつける。フィリッポスが敵とつながっているとの報告を受けているアレクサンドロスに、薬を飲むべきか飲まぬべきかの決断が迫られる‥‥‥。青年大王アレクサンドロスと侍医フィリッポスとの友情、正義、幸福観をテーマに綴る。
「革命の若き空」--反革命の烙印を押され、革命政府から追われる詩人アンドレ・シェニエと、画家を志す少年ルネの交流の物語。正義とは何か、人間とは何か、社会改革のあり方とは何か‥‥‥。若くして革命の渦中に散ったシェニエの、信念に殉じた生き方や、真実の革命のあり方がテーマになっている。
主に高校生向けに書かれた2つの小説には、未来の主役である青少年たちに〝心の宝〟を捧げたいとの作者の熱い思いが込められている。
目次
アレクサンドロスの決断
解説――アレクサンドロス大王の生涯と足跡
革命の若き空
解説――アンドレ・シェニエと時代背景
後記
感想・レビュー
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ロビン
14
1986年に執筆された『アレクサンドロスの決断』、1988~89年に執筆された『革命の若き空』を収録。前者はインド東征で有名なマケドニアの英雄アレクサンドロスを主人公として『プルターク英雄伝』に見られる逸話を中心に創作された作品。後者は18世紀、革命の嵐吹き荒れるフランスで断頭台の露と消えた熱血の青年詩人アンドレ・シェニエを主人公に、画家の卵であるルネ少年との交流を通し、芸術と信念に生き抜く人間の姿を描く。どちらの作品も著者である池田先生ご自身の「自己の信念に殉じる」という清冽な覚悟を感じさせられた。2025/02/01