ちくま文庫<br> 彼女の名前は

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ちくま文庫
彼女の名前は

  • ISBN:9784480439987

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内容説明

未来のために、「次の人」のために立ち上がる女性たち、28の物語。セクハラにあった女性が闘い続ける理由とは? 推し活で届けたい言葉とは? 地下2階の部屋に住む女子生徒の悩みとは? 文庫版のための著者メッセージも収録! 日韓累計165万部突破の『82年生まれ、キム・ジヨン』の次作短編集。文庫解説=桜庭一樹、解説=成川彩 推薦文=王谷晶、伊藤詩織

目次

はじめに/第1章 それでもずっと、ときめきつづけていられる/二番目の人/ナリと私/彼女へ/若い娘がひとりで/私の名前はキム・ウンスン/大観覧車/公園墓地にて/第2章 私はまだ若く、この闘いは終わっていない/離婚日記/結婚日記/インタビュー──妊婦の話/ママは一年生/運のよい日/彼女たちの老後対策/声を探して/もう一度かがやく私たち/第3章 はあちゃん、けんきでね/調理師のお弁当/運転の達人/20ねんつとめました/母の日記/ジンミョンのお父さんへ/ばあちゃんの誓い/第4章 たくさんの先が見えない道のなかかすかな光を私は追いかけてる/浪人の弁/また巡り逢えた世界/老いた樫の木の歌/長女ウンミ/公転周期/十一歳の出馬宣言/エピローグ:78年生まれ、J/日本の読者の皆さんへ チョ・ナムジュ/文庫版に寄せて 著者からのメッセージ チョ・ナムジュ/訳者あとがき/文庫版 訳者あとがき/解説 82年生まれ、A 成川彩/文庫版解説 71年生まれ、K 桜庭一樹

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

262
チョ・ナムジュは3冊目。今回はエピローグを含めると28の短篇からなる作品集。いずれも女性が語り手(主人公)の物語である。年齢は小学生から、ばあちゃんまで様々。階層的には、概ねロウワーからアッパーミドル・クラスといったところ。全編を通して韓国の今、韓国のリアルが如実に伝わって来る。制度や生活習慣においての多少の違いはあるものの、それらは現代日本の日常に近接する。一見したところでは、韓国の方が女性たちが生き辛いようにも見えるが、日本におけるジェンダーが内向化しているだけだとも思える。男たちの身勝手さと⇒2025/06/15

cao-rin

19
60人余りのあらゆる世代の女性へのインタビューがベース。著者は、フェミニズム文学の代表とも言える『82年生まれ、キム・ジヨン』の作者チョ・ナムジュさん。ここでは闘う女性が描かれている。どこにでもいるごく普通の女性達。けれど彼女達は声を上げ続ける。時に権力に、時に社会に、もしくは企業や家族に。妻でも嫁でも母でもなく、「自分」のままでいるために。韓国の女性達の熱量を羨ましく思う。日本のジェンダーギャップ指数は遂に2019年韓国に抜かれた。私には一体何が出来るだろう。ここに登場する全ての女性の話が心に刺さった。2025/10/11

二人娘の父

10
単行本の時に読んだのは、3年以上前のコロナ禍の際。まだ韓国小説になじみが薄かったので、とにかく押し寄せる28本のストーリーに圧倒された。その後、一定の韓国小説に目を通した上で再読し、当時よりも解像度が高くなって読むことで、著者の視点の鋭さとブレなさに感動する。正直、ここまで多くのエピソードを書くには、どれだけの取材や調査が必要だったであろうか。一話ごとのディテールの捉え方に、ルポルタージュを読んでいるかのような感覚になる。登場する女性たちには、一人ひとり名前のある人間なのだという著者の執念を感じるのだ。2025/01/25

ひっさん

6
以前「三つ編み」を読んだ時の言葉を思い出した。“これは私の物語。なのに、私のものではない”と。自分のままでいること。当たり前のことなのに社会はこんなにも難しい。誰かの妻、誰かの嫁、誰かの母…。チョ・ナムジュさんの作品を読んでいる時間は、人生の主人公はあなたであること、かけがえのないあなただと受け入れてくれる。ゆっくりではあるが、育休制度など社会も変わりつつある。この物語が過去のものだと言えるように、少しでも早く、自分を犠牲にしなくても自分らしく生きられる社会へ。私たちは何ができるだろう。2025/10/04

ののまる

6
いまびっくりしたけど、単行本の方をすでに読んでいた… 文庫本は解説が充実。2025/09/09

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