内容説明
東日本大震災の最前線に住み込み、現地の人々と共に暮らしながら、小さな声に耳を傾け続けた日々。家族全員を失った女性、直後に授かった新しい命、児童や教員の死に苦悩する学校関係者、親友のカメラマンの死……。朝日新聞に掲載され、大反響を呼んだ「南三陸日記」の続編とも呼べる震災ルポルタージュの傑作。文庫化。
目次
序 章 答えられなかった質問の答え
第一章 地図のない町
第二章 社会部員たちとの夜
第三章 赴任命令
第四章 南三陸町長の強さと弱さ
第五章 戸倉小学校と戸倉中学校
第六章 異端児の挑戦
第七章 新しい命
第八章 ライバルとの食卓
第九章 警察官の死
第一〇章 ジャーナリズムとは何か
第一一章 最後の写真
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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7
朝日新聞の記者、三浦英之さんによる「災害特派員」の文庫版です。描かれるのは、東日本大震災発生から南三陸町に拠点を置き過ごした1年間に渡る日々。もう東日本大震災から13年が経つ中、特に発生時のことを強く思い出しました。まさに、「人を殺すの災害ではない、いつだって忘却なのだ。」この言葉の意味を突きつけられ、色んなことを考えさせられた一冊でした。2024/12/12
のっぷ
3
日常はあっけなく壊れる事がある…頭では分かっていても理解はできない。いろんな事を考える機会にはなる。2024/12/17
平坂裕子
3
誰もが予測できなかった災害は、あまりにも多くの人ものを失わせた。 それでもその最中、我が身の危険もかえりみず大勢の人びとが、互いを励まし合いながら日々を過ごして来た。震災の禍々しさを改めてしっかり知ったような気がする。 人を殺すのは「災害」ではない。いつだって「忘却」なのだー 忘れてはいけない。2024/11/30
和
2
東日本大震災の直後に被災地に現地入りした記者による、そこに住むひとりひとりの心を書き留めた手記です。新聞記者の著作によくある行政や企業への批判ではなく、目の前のひとが何を失ってどう生きてるのかが書かれています。生きるとはどういうことなのか、再認識できたような気がします。時間をおいて再読できるように、『南三陸日記』と同じように、手の届くところに常に置いておきたいです。2025/06/17
カノープス
2
涙の海から紡がれた言葉。体温の伝わるあの日の記録。ティピカルな震災記事ではお目にかかれない、取材する者の葛藤が描かれる。眼目は、ジャーナリズム先進国に渡り、彼の国で交わされた不毛な議論を経て、最終章の報道カメラマンが最後に残した写真につながる辺り。ここに著者が主張したい、【日本のジャーナリズム】を見た思いがした。【東京などの都会で暮らしていると、人間が急に偉くなった気になって、自然を制圧したような勘違いをしてしまう。だから自然は時々、どっちが強いのかを見せつけてくる】と語る冒険家の言葉が忘れられない。2024/12/15
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