内容説明
なんとなく味気ない一人暮らしを続けてきたOLの諏訪部京子。ある夜、腹ペコでやさぐれながら帰宅すると、隣に住む女子高生の笠音百合に呼び止められる。「あの角煮が余っているんですけど」そこから、二人のちょっと不思議な交流が始まった。さっぱりしていてクールな京子。優等生っぽく見えるけれど、実は激情家な百合。性別以外色々と違う二人は、勢いでポテトを揚げたり、やってられない日にクリームソーダを作ったり。付かず離れず、背中合わせの日常をどうぞ召し上がれ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Karl Heintz Schneider
35
「角煮を作りすぎてしまってよかったら少し受け取ってもらえませんか?」隣の部屋に住む女子高生の百合から突然こう切り出されたアラサーOLの京子。これをきっかけに二人はお互いの部屋を行き来するように。ところが百合が一人で住んでいるのにはあるワケがあって。初読みの作家さんだったがまずまず面白かった。この方の文章には少しクセがあるかもしれない。一つの結論に辿り着くまでに10以上の前置きがある。よく言えば描写が細かい、悪く言えばムダが多い。でもそのムダがユーモアに富んでいて。読みながらときおりクスッと笑えてしまった。2025/06/08
栗山いなり
5
アラサー女子と女子高生が織りなす日常を料理と共に描いた物語。表紙とかあらすじとかで一瞬百合か?と思った自分を恥じたい気分になった、歳の離れた女二人の友情小説だった。個人的にそうだねーって思える部分もあったりした2025/02/09
nas
4
気持ちのいい話だった。ちょっと良いものを作って食べてみたり、買ってみたり、違うことをしてみたりで楽しい生活を得ようする姿が好き。こういう地味な幸せの積み重ねがソロの生活にはバフとして効いてくるんだよな。それを一緒に楽しめる人がすぐ近くにいるのは素直に羨ましい。あとは最後のレシピの話はぐっと来た。賭けに出るという考え方も好き。作者の別の本も読んでみようかな2025/06/10
Yukipitasu
3
偶然表紙イラストの宣伝を見かけたり百合小説botで紹介されていて気になったから買ってみた。 再婚しようとする父親も再婚相手も悪くはないけれど、どうしても受け入れられない笠音百合さんの気持ちを、単なる思春期のワガママだからと切り捨てる事もなく、共感はする事もあるが踏み込みすぎる事もなく、隣にいてくれるちょっと仲の良い他人って感じのスタンスでいる諏訪部京子さんがけっこう好き。 2025/06/15
ゆり
2
ふたりともサバサバしていて、女子同士の嫌なベタベタした感じではなく、程よい距離感で近所付き合いをしていたのがよかったです。都内でいきなりお隣さんと仲良くなるというのは非現実的ですが、そこは創作だからこそ。同じような家庭環境だったというのは少しできすぎな気もします。お料理描写は思ったよりもあっさりめ。2025/04/07