内容説明
いま、日本の社会が極端に弱っている。アガリやすく、キレやすく、無気力……これは身体からの警鐘だ。近代以降百余年、日本人の呼吸は浅く、速くなった。私たちの身体に眠る力強い「息の文化」をいかにして取り戻すか? 虚無僧尺八の偉才が体得した、呼吸の奥義。ナンバ歩き、古武術に続く画期的身体論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字スキー
23
武道家で思想家の内田樹先生が著書の中で紹介されていたので。「ちゃんと生きる」ということを意識するようになって以来「ちゃんと食べる」ことと「ちゃんと寝る」ことについてはかなり意識が深まってきたつもりでいたが(ちゃんと生きてるとは言ってない)、「ちゃんと息をする」ことは盲点だった。尺八奏者である著者によると、現代の日本人は欧米の腹式呼吸に完全に移行することもなく、中途半端な胸式呼吸をしている人が多いという。呼吸によって何が変わるのか。そして日本古来の呼吸法とは。2020/04/26
デビっちん
19
尺八演奏者の著者が、その演奏を突き詰めていく中で出会った「密息」は、特殊な伝承技法ではなく、日本人が古来から自然と行ってきた呼吸法でした。密息って名前は怪し気ですが、坐る文化の日本人の構造に即した自然で健康的な呼吸法のようでした。肉体の動きを意識的に止めることで、周囲の環境と一体化し、気配が気えたように感じるのも密息の効果のようです。話をマクロ的にとらえると、呼吸の仕方を切り口に、身体論、音楽論、生活様式や文化にまで派生していました。毎日の呼吸法に加えて、密息版を行い、その変化を考察してみましょうかね。2017/04/10
あちゃくん
19
普段何気なくしている呼吸についていろいろ考えさせられる内容でした。ほんと人間の体って面白い!2015/01/12
よう
11
日本人と西洋人の体の使い方、それに伴う道具の変化。ノコギリを引いて切るのか押して切るのか。骨盤が倒れているのか立っているのかでこれほど違う。同じ人間でも環境によってここまで違ってくるものなのだと改めて吃驚した。倍音、呼吸、姿勢など色々深く学んでみたい。2018/06/24
太鼓
10
尺八呼吸による身体論。本を読むのってほとんど頭だけで読むんだけど、こうして身体性に言及してもらえると、身体全体が意識されますね。別の感覚を刺激されます。2016/01/05