内容説明
芸術と出会う場所、美術館。
その鑑賞はどのような環境で行われるのが望ましいのだろうか。
「お静かに!」と言わざるを得ない環境に関わるすべての方に。
作品にじっくりと向き合い、それを味わったり理解したりするための〈沈黙〉か〈静粛〉か。
それとも〈語らい〉や〈対話〉のある空間か。
作品の鑑賞にとっては、どちらが、より好ましいだろうか。
あるいは、どちらがより「正しい」のだろうか。
本書は、美術作品の鑑賞という営みと、「声」や「会話」との関係について考えます。「お静かに!」の背後にひろがる諸問題についてです。
〈沈黙〉や〈静粛〉か。〈語らい〉や〈対話〉か。
対立させて考えるのではなく、両者に真摯に向き合い、人間にとっての根源的な欲求である美術鑑賞、その空間を考えます。
美術館だけではなく、図書館、劇場、コンサートホールなど、公共性のはざまで揺れながら考える人に。ぜひお読みいただきたい本です。
【熟視し、黙想し、芸術作品の深みへと沈潜していくこと。
対話し、ときには笑い合い、隣にいる人たちとのコミュニケーションを含めて作品を楽しむこと。
人は、その両方を求めてきたし、今日も求めているのではないか。芸術作品はこれまでその両方の求めに応じてきたし、現在も、そして未来も、応じ続けていく力を備えているのではないか。だからこそわたしたちは、二つの営みのどちらにも、真摯に目を注いでみる必要があるのではないだろうか。】……「はじめに」より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
38
本書は著者の今村さんが「お静かに」と要請される美術館などの文化史をまとめた作品!スタンスとしては、美術館などで対話する方がいいか沈黙がいいかを決めるわけではない。お互いのメリット・デメリットを示した上で、話が展開される。本書を読んだ後にミュージアムに行ったら、展示物以外のものにも目がいって、より楽しめるのかなと思う。2026/06/09
MASA123
13
図書館の新刊本コーナーにあった本。おもしろかった。本の内容は、帯に記されている通りなのでそのまま引用しておく。・・・作品にじっくりと向き合い、それを味わったり理解したりするための〈沈黙〉か〈静粛〉か。それとも〈語らい〉や〈対話〉のある空間か。作品の鑑賞にとっては、どちらが、より好ましいだろうか。あるいは、どちらがより「正しい」のだろうか。・・・ 自分の場合、基本は美術館では自分だけの作品(の鑑賞)を楽しみたいので沈黙派だけど、偶然、出くわした鑑賞ガイドツアーの作品説明が、いいね!と思うこともある。2025/02/05
つまみ食い
8
美術館などでなぜ静かに鑑賞することが求められるのか、という問いを起点に芸術作品の鑑賞についての言説史へと進んでいく2025/04/29
てくてく
6
美的共同体を推進するのであれば、対話型(語らい)鑑賞は望ましいのだろう。①リラックス②社交③楽しみ④発券⑤理解(p.152)だと、私は①③⑤の優先順位が高いので、ひとりでふらっと訪れたいし、展示と関係ないことをおしゃべりしている人は苦手なのだが、確かに静かでなければならないという場所でもないような気はする。2026/03/31
Humbaba
6
ある体験をしているときに、他の人のコメントが入ってくる。そして、そのコメントに引きずられて自分の感じ方も変わってくる。変化は良い方向の時もあれば悪い方向の時もあり、それは悪いものという訳でもない。ただし、必ずしも良いものというわけではなく自分自身の感覚を大切にしたいという時もある。どちらを求めるかは人によってもそのタイミングによっても変わってくるが、他人に強制されたいものではない。2025/04/22
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