内容説明
第十七回大藪春彦賞受賞
江戸の闇を裂いて銃撃の宴が開始される――!
熱い戦いの物語を書き続ける月村了衛、渾身の時代小説。
人呼んで“残月の郎次”。昼は江戸の廻船問屋の番頭、夜は裏金融を牛耳る儀平一味の大幹部。組織のために邪魔者を消す仕事を請け負っていた郎次だが、実際に殺しを実行しているのが彼自身とは誰も知らなかった。どんなに荒事に長けた連中が相手でも、郎次が決して引けをとらなかったのは、彼には切り札があったからだ――
コルトM1851、6連発。アメリカ製の最新式回転拳銃。
組織の跡目と目されていた郎次だったが、ある殺しを機にその運命は暗転する。裏切られ、組織を追われた郎次。残されたのはコルトM1851ただ一挺。それを手に郎次は江戸の暗黒街に絶望的な戦いを挑む!
単行本 2013年11月 講談社刊
文庫版 2016年4月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
74
1853年ペリー来航の年、コルトM1851最新式六連発銃を懐に、裏切られた組織に戦いを挑む男、呼び名は残月。序盤ではいけ好かない男であったり、肝心な所で少々迂闊だったりと一筋縄ではいかない主人公だったが、その分登場する女性達が一層際立って見えた。コルトの銃自体の扱いやその特製を活かした設定も非常に面白く、銃撃戦も一味変わったもので新鮮だ。有りがちな大筋をその着眼によってこんなに稀有な時代劇にしてしまうとは。満足でした。2016/07/15
紫綺
66
単行本にて読了。江戸時代劇版ハードボイルド♪痛快‼2018/05/04
はつばあば
66
コルトを使ってただ殺めるだけの男か・・と一旦中断して首斬り朝に。時代物ですから刀でっせ、しかも正義のセもあらしゃしないと。郎次の生い立ちが記された辺りから俄然面白くなった。江戸時代の子供も哀れなものよとコルトをぶっ放す二人に情けをかける私。もしかして私も魔力を持つ銃などを手にしたら・・・やばいやばい。銃社会でなくて良かった・・2018/02/23
巨峰
60
江戸の町を舞台にしたノワール&ハードボイルド。こういう作品てなかなか成功難しいと思うんだけど、これはすごく良かったと思います。なんだろう。すごく新鮮な気もしたし、江戸という時代もあっていた気がした。過去の回想がもう少し上手くさばけていたら超おすすめにしてた。2021/06/13
papako
58
江戸時代のノワール小説なのね。月村さんお得意のヒーローものかと思って読み始めたけど、自己憐憫の男のちょっとひとりよがりな物語で残念。文中に『影の中の影』という文言がでてかて、あ、これはお気に入りなんだなと思いました。そろそろ機龍警察最新作が読みたいですよ〜。2016/07/05