講談社選書メチエ<br> 遊牧王朝興亡史 モンゴル高原の5000年

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講談社選書メチエ
遊牧王朝興亡史 モンゴル高原の5000年

  • 著者名:白石典之【著】
  • 価格 ¥2,310(本体¥2,100)
  • 講談社(2025/01発売)
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  • ISBN:9784065383209

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内容説明

ユーラシアの遊牧民が、世界史のなかで果たしてきた役割の大きさについては、近年、広く知られている。黒海沿岸にまで黄金文化を展開したスキタイや、歴代の中華王朝を脅かした匈奴や鮮卑、突厥などの存在、さらに13世紀にモンゴルが築いたユーラシアの東西にまたがる大帝国は世界史の転換点になったといわれる。
しかし、こうして語られる壮大な歴史像に、本書の著者は心を躍らせる一方で、不満も感じてきたという。そのなかに「遊牧民の姿は見えなかった」というのだ。
ユーラシア大陸を人体に見立てれば、モンゴル高原がその心臓部にあたるという。そこに暮らす遊牧民たちの動静が生み出す人と物の流れが、血流のように各地に行きわたり、人種、民族、宗教の垣根を越えて新しい細胞を目覚めさせてきたのだ。本書は、30年以上モンゴル各地の遺跡を発掘してきた著者が、その成果を集成した「遊牧王朝全史」である。
近年の考古学は理系研究者との協業により、新たな知見を次々もたらしている。例えば、出土人骨の最新のゲノム解析では、多数の東ユーラシア人を少数の西ユーラシア系エリートが統治していた匈奴という遊牧王朝の実態がわかってきている。また、歯石からは摂取していた乳の種類もわかるという。さらに、権力の源泉となる鉄はどこから来たのか、モンゴル帝国が営んだカラコルム首都圏の実態は――。文献史料には表れてこない、遊牧と騎乗の起源の探究に始まる「馬と遊牧のユーラシア史」を知る必読の書。

目次
はじめに
第一章 始動する遊牧民族――青銅器・初期鉄器時代
1 遊牧民の登場
2 家畜馬の到来
3 エリート層の形成
4 遊牧王朝の萌芽
第二章 台頭する遊牧王権――匈奴、鮮卑、柔然
1 ゴビ砂漠の攻防
2 シン・匈奴像
3 単于の素顔
4 みずから鮮卑と号す
5 カガンの登場
第三章 開化する遊牧文明――突厥、ウイグル
1 トルコ民族の勃興
2 大国の鼻綱
3 突厥の再興
4 ウイグルの興亡
第四章 興隆する遊牧世界――契丹、阻卜、モンゴル
1 契丹と阻卜
2 モンゴル部族の登場
3 最初の首都
第五章 変容する遊牧社会――イェケ・モンゴル・ウルス
1 国際都市の繁栄
2 大造営の時代
3 亡国の影
おわりに
参考文献
索引

目次

はじめに
第一章 始動する遊牧民族――青銅器・初期鉄器時代
1 遊牧民の登場
2 家畜馬の到来
3 エリート層の形成
4 遊牧王朝の萌芽
第二章 台頭する遊牧王権――匈奴、鮮卑、柔然
1 ゴビ砂漠の攻防
2 シン・匈奴像
3 単于の素顔
4 みずから鮮卑と号す
5 カガンの登場
第三章 開化する遊牧文明――突厥、ウイグル
1 トルコ民族の勃興
2 大国の鼻綱
3 突厥の再興
4 ウイグルの興亡
第四章 興隆する遊牧世界――契丹、阻卜、モンゴル
1 契丹と阻卜
2 モンゴル部族の登場
3 最初の首都
第五章 変容する遊牧社会――イェケ・モンゴル・ウルス
1 国際都市の繁栄
2 大造営の時代
3 亡国の影
おわりに
参考文献
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

102
私の頭の中の乏しい歴史知識では、モンゴル高原における遊牧民は歴代の中華王朝の北辺を掠める民という理解、ある時突然現れ、そのうち消え去り、その後は行方知らずの集団。(少なくともチンギス・カーンの時代までは。)しかし、それは全て中国側の視点に立った見方。これは豊富な文字記録(史書)を残した中華王朝と、殆ど文字記録が無く遺跡などの発掘からしか推測できない遊牧王朝の差に起因するのであろう。本書は、そんな遊牧王朝の興亡の歴史を紐解いてくれる。さすが古い時代の遊牧王朝の盛衰は発掘調査に基づく考古学的推定が中心で⇒ 2025/03/19

姉勤

43
人が家畜と共存して12000年、とか。特に馬に直接乗るようになって人間の行動範囲は格段に伸びた。インド同様、歴史に重きを置かなかったユーラシアの遊牧民族の集団が、発達に数百年かかった、製鉄、交易、都市と、世界文明の遅々たる進捗がリンクするによって、小集団から他民族国家、そして史上最大の版図を有したモンゴル・ウルスの誕生へと爆発的に革新して行く。異民族の伝聞的文献によって漠然としていた彼らが、地道ながら科学的、工学的知見に基づいたフィールドワークによってベールを脱ぎ出したことに興奮した。2025/04/28

サアベドラ

36
最新の考古学や考古遺伝学の成果を用いてユーラシア・ステップ東端の遊牧諸王朝の興亡の歴史をダイナミックに描き出す意欲作。著者の専門は考古学を用いたモンゴル史研究。2025年刊。全編興味深い記述にあふれているが、個人的に特に面白かったのはゲノム分析により匈奴の民族構成が突き止められたこと (東西ユーラシア人およびバクトリア=マルギアナ考古複合の3者のハイブリッド)、ウイグル時代にモンゴル高原に本格的な都市が造営されたこと、モンゴルの隆盛に気候変動との関連が指摘されることの3点。遊牧王朝に興味がある人は必読。2025/06/09

よっち

24
30年以上モンゴル各地の遺跡を発掘してきた著者が、その成果をもとに語る遊牧王朝全史。青銅器・初期鉄器時代における遊牧民の登場から家畜馬の到来、エリート層の形成、遊牧王朝の萌芽。匈奴、鮮卑、柔然といった単于による遊牧王権の台頭。トルコ民族の勃興と突厥、ウイグルにより開化した遊牧文明。契丹、阻卜、モンゴル部族の登場と営んだカラコルム首都圏の実態。国際都市カラコルムの繁栄によって人口が膨れ上がって変容していく様子までを解説していて、考古学をベースとする新たな知見を盛り込んだ遊牧民族の姿を浮き彫りにしていました。2025/03/05

MUNEKAZ

20
モンゴル高原を舞台に活躍した遊牧王朝を、考古学の知見から通覧した一冊。文献の残っていない時代、人々の生活の様子が理化学的な探究からここまで再現できるのかという驚きがある。長年モンゴルでフィールドワークを続けてきた著者の矜持を感じるような書きぶりで、中国側の史書に拠ったこれまでの研究に対する異議申し立ての雰囲気も。またゲノム解析からわかる人種の混交具合を見ると、今日日的な意味での○○系や民族といった説明や理解が、いかに実態を捉え損なっているかがよくわかる。刺激的な内容。2025/07/10

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