内容説明
相対論は時間と空間が不確かであることを明らかにし、両者を分断する世界の最高速度が秒速30万キロの光速「c」であることを示した。有名な数式「E=m×cの2乗」は、「エネルギーは質量×光速の2乗と等しい」ことを意味しており、ここで両者を結びつけているのは光速である。このように、光速は世界のそこかしこに潜んでいる。光速を超えることはできるのか? 時間の流れは逆行できないのか? 超光速粒子タキオンやウラシマ効果などSF感覚を交えながら、時間と空間、宇宙の成り立ち、科学と哲学の接点、さらには生命進化への影響にいたるまで、光速に関わる多彩な話題を考察していく。
目次
第1章 光速の壁
第2章 タキオンの世界
第3章 ウラシマ効果の謎を解く
第4章 一般相対論は時間について何を語るのか
第5章 ゼノンのパラドックス
第6章 記憶が「動き」を創る
第7章 世界は「関係」でできている
第8章 今さら? 生命とエントロピー
第9章 百兆年の旅路
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サラサラココ
3
新刊コーナーから、子どもとの会話のきっかけになった。「光は素粒子の一種である。・・・光は生命を構成する一つの要素と言えるのだが、ふつうの物質と決定的に違うのは、」子どもいわく、「質量が0だよ」。「・・・こうして、光速を超える、つまり光速より速い粒子、タ〇〇〇というものの存在が考えられるようになった」いわく、「タキオン」etc...2024/12/03
志村真幸
3
著者は東進ハイスクールの物理のカリスマ講師として知られた人物。 本書は、『時間はどこで生まれるのか』『空間は実在するか』に続く第3弾。今回は「速度」がテーマとなっている。基本は宇宙論。 物理学の入門書というよりは、むしろSF心を発揮した一冊だ。たとえば、ウラシマ効果について徹底的に解説してくれており、これまで何となくでしか理解できていなかったものが、隅々までよく分かった。 きちんと段階を踏んで教えてくれるので、読者もちゃんとついていける。 時間や空間というものがおもしろくなった。 2024/10/07