内容説明
第172回芥川龍之介賞候補作!
大事な人が、かつてここにいた
確かなしるしを何度でも辿る──
喪失を抱えたまま生きていく、祈りの記録。
ロングセラー『旅する練習』の著者がはなつ待望の新作。
「これは、叔母がどんなに私を思ってくれていたかということを、その死後も巧妙なやり方で繰り返しほのめかされ時には泣かされたところでぴんぴんしている、根深い恨みである。」
実家を出て二年、作家になった二十四五の私は弟の結婚式に参列するため、仙台に向かっている。
五年前に亡くなった叔母の痕跡を求めて、往復する時間の先にあるものとは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
203
二十四五歳の女性作家が綴る、仙台での弟の結婚式と、今は亡き叔母との思い出。家族たちとの微妙な感情の起伏が繊細に描かれる。そして、叔母と行く予定だった、伊達家の墓所がある大年寺山、地底の森ミュージアム、震災遺構仙台市立荒浜小学校を訪ねながら、喪失感について考えを巡らせる、ユニークで切ない中編です。 2025/02/16
starbro
193
★第172回芥川賞候補作&受賞作、第二弾(2/5)、乗代 雄介、6作目です。弟の結婚式に出席する二十四五の姉の物語、佳作ではありますが、受賞作『DTOPIA』に比べると影が薄い感じでした。著者は、5回芥川賞候補となりましたが、残念ながら芥川賞作家にはなれなさそうです。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00004059562025/02/02
シナモン
108
群像12月号で読了。読み込みが足りなかったのかあちこちで目にする「とても良かった」という感想には至らなかった。読んでて分かりづらいところが多くて。どうやら前作があるらしくそれを読むとまた印象が違ったかな。「旅する練習」で感じた切なさとさわやかさを纏った雰囲気は似てるかなと思った。 2025/01/06
美紀ちゃん
105
地底の森ミュージアム。検索してみた。 実際にあり、行ってみたくなった。 結婚式でめでたいのに、叔母の影がチラつきしんみりしてしまう景子。 仙台は都会。 長町とか急にたくさんビルが建ったよね。IKEAもあり、ライブハウスもあり、好きな街。 「イヤなんだけど、そんな自転車」 のあたりから、面白くなったなぁと思ったらもう終わってしまった。 出会いって不思議。 景子さんは、みんながかっこいいという。 身長が高くてすらっとしている人を想像した。 乗代さんの本は「皆のあらばしり」がいちばん好き。2025/04/01
まちゃ
87
二十四五の作家・阿佐美景子。弟の結婚式に参列するために訪れた仙台、五年前に亡くなった叔母の痕跡を求めた数日間。この作品につながる前作は未読。そのためか、彼女が何故叔母に囚われているのか、が気になりました。主人公の揺れ動く心を読み手に考えさせる物語だと思います。2025/03/26
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