内容説明
作事奉行の娘・雪乃の前に現れた、この世のものとは思えない美しさを持つ萩之介。彼岸花の着物を纏う彼は、”この世に居る筈のない男”だった。この幽霊騒動を知った雪乃の父・上月監物は、過去の因縁と関わりがあるのではないかと疑うが……。絡まりあった謎を解きほぐすため、武蔵晴明神社の宮守・中禪寺洲齋が”憑き物落とし”へと乗り出す。京極堂の曾祖父が相対する、悲しい真実とは――。角川ホラー文庫30周年を記念したプレミア版が登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
59
文庫で再読です。切ないけれど面白かったです。この世にいるはずのない男というガジェットに惹かれました。幽霊と過去の因縁とは何か。絡まり合う謎が中禅寺の憑物落としへと導きます。明かされたのは悲しい真実なのが辛かったです。歌舞伎の物語として描かれた作品だそうで、舞台が見たかったですね。2025/02/10
えみ
55
自分の息遣いや鼓動だけが耳朶を這う。静かな部屋にただ“いる”、というそんな時に感じるあの感覚。そう、あの感覚としか表現のしようがない妖艶な怪談系ミステリ。百鬼夜行シリーズ京極堂の曾祖父・中禅寺洲齋。彼が江戸に現れた哀しき運命に翻弄された“幽霊”と対峙する。憑き物落としの遣り切れない真実が胸を震わし、目撃したのは人々の心に巣食う悪の果て。恐ろしさの中に隠された哀れは簡単に脳裡から離れてくれそうにない。少なくとも理解の中で霧散した「憑き物」に心寄せた時、これで「救い」は成就した…と思わずにはいられなかった。2025/01/02
こばまり
50
歌舞伎のための書き下ろし脚本の小説化とのこと。氏の作品としてはあまり例のない短さだが、濃密さは満足のいくもの。観たかった、京極歌舞伎。赤と黒のさぞや幻想的な舞台であったろう。読みながらいつになく場面場面をじっくり極彩色で想像している自分がいた。2025/02/15
ヘビメタおやじ
35
京極堂の曾祖父が主人公というだけで、読まずにいられないという感じです。親の過去の秘密と、娘たちに起きる現在の幽霊事件、繋がりがあるのかないのか、全貌を見せずに物語は進みます。幽霊とされる萩之介の暗躍と共に、過去の秘密が明らかになります。その残虐さたるや、現代イヤミスどころではありません。そして、京極堂らしく、全てを明らかにしても救われる者はおらず、憑き物だけが落とされます。ちょっと今回は救われなさすぎの気もしましたが、舞台は江戸なのでこの惨劇も違和感がありません。萩之介の衣装が目に残ります。2025/08/30
イシカミハサミ
32
百鬼夜行シリーズの中禅寺秋彦の曽祖父が 憑き物落としを務める作品。 最近の京極作品は 男尊女卑や科学を相手取ることが多かったけれど、 今回は久しぶりに純粋に人の業と相対する。 なぜこれがホラー文庫から出ているのかはわからないけれど、 京極作品としては驚異の薄さで初心者でも読みやすい作品と思う。2025/02/23




