内容説明
――罪と罰と愛と苦悩について
過去にある罪を犯した元軍人のクーパーは、その罪から逃げるようにアパラチア山脈の山奥の一軒家で8年間、一人娘のフィンチとともに暮らしてきた。電気もない自給自足の生活は年に一度物資を届けてくれる親友のジェイクだけが頼りだが、その冬は何日経ってもジェイクが姿を見せず、数日後に現れたジェイクの妹マリーはその死を知らせる。さらにクーパーが森で見かけた少女が行方不明となっていることから保安官に質問を受けることになり、懸命に築き上げてきた静かな生活は少しずつ崩れていくが――罪と罰と愛と苦悩について考えさせられる重厚なサスペンス!
原題:These Silent Woods
◆この「静かな森」の中には、現代人が背負うべき罪と痛み、そして育むべき恵みがある。美しい文体と、詩的なノワール文学に、僕は恋をしてしまった。こんな善良なハードボイルドには、なかなか出逢えない。
/ゲームクリエイター 小島秀夫
◆美しい文章で書かれた、緊迫感と迫力にあふれる作品
/ジョン・ハート(エドガー賞受賞作家)
◆「本作の美しい表現と、救いと希望というメッセージは、多くの人の心に響くだろう
/パブリッシャーズ・ウィークリー
『ピープル』誌2021年11月のベストブック選出!
『ニューヨーク・ポスト』紙2021年11月の「読むべき新刊」選出!
米Amazon2021年11月「編集者が選ぶこの1冊」選出!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
73
ジャケットの綺麗なイラストとあらすじに帯、どうもよくわからないまま読み始めたら読後は予想を上回る作品だった。舞台となる山奥の力強い自然、一体どんな過去から逃げてきたのかわからない元軍人のクーパー、その娘で愛すべき可愛いさのフィンチ。少ないがしっかりしたキャラクターの登場人物に魅了されてストーリーを楽しんだ。本質を見極める目、決断、許し、愛、最後には大きな問いかけをもらった。戦争はいつまでも傷を残すと改めて思う。2023/11/18
Shun
45
著者は詩人でもあり、本作においても詩が物語に深みを与えているような印象を持ちました。密やかな森の奥に佇むキャビンでひっそりと暮らす父と娘の物語はノワール文学の趣があり、また豊かな自然との調和が生む美しい雰囲気がある。母を事故で失って以降、二人はここで隠れて住むようになったが過去に父親である男は何を犯したのかが一つの謎として描かれていく。その過程で描かれる日常場面は不穏な気配を纏いつつも親娘の確かな絆が描かれ妙に心地良い。やがて訪れるかもしれない娘との別れを前に、不器用な父が贈る詩を選ぶ場面に涙腺が緩む。2024/02/03
しゃお
31
【再読】帯には「善良なハードボイルド」とあったけど、「誠実なハードボイルド」だなと個人的には思ったりもしました。クーパーが娘フィンチを森の奥、世間から隔絶した環境に置いている事などについて覚える罪の意識。それが物語が進むに従いフィンチの言葉によって鏡のように跳ね返っていく様子は「正直」で「誠実」だなと。物語としてはつっこみどころあるけど、森とそこに住む父娘の描写はとても鮮やか。エピローグで転調する世界、描かれていない部分を想像するのも楽しく、描かれている以上に幸せな結末を想像しました。2023/11/24
しゃお
28
人里離れた森で父娘二人で暮らす情景も美しく目に浮かぶよう。しかしながらクーパーが犯した罪。それに向き合う事の怖さから考えないようにしてきたものの、娘フィンチと向き合う事で葛藤する様子がとてもリアルで、ただ自分の正義を主張するだけで無いのが良かった。悩んだ末に下した決断と行動には胸が張り裂けそうになり目に涙も。〈善良なハードボイルド〉と帯にゲームクリエイターの小島監督の言葉があるけど、まさに、といった印象です。クーパーがフィンチを素晴らしい娘に育てあげた事そのものがクーパーの良心を表しているのかも。2023/10/31
紅咲文庫
25
森の中で暮らすクーパーと8歳のフィンチ。その生活を支えるジェイク。こちらもまた秘密めいた行動をとるスコットランド。森に隠れ住む理由やジェイクとの関係性も徐々に明かされる。思いがけない人との邂逅を物語へと高めるフィンチ、それを制止するクーパーの葛藤。森から出る決断をしなければならない時に受けた”恩寵ー恵み“。赤ちゃんから少女になるあいだ、フィンチが満ち足りて過ごした森。良い本だった。2023/12/28
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