時間移民 劉慈欣短篇集Ⅱ

個数:1
紙書籍版価格
¥2,420
  • 電子書籍
  • Reader

時間移民 劉慈欣短篇集Ⅱ

  • ISBN:9784152103871

ファイル: /

内容説明

環境悪化と人口増加のため、政府はやむなく“時間移民”を決断。全世界に建設された200棟の冷凍倉庫に眠る合計8000万人の移民を率いて、大使は未来へと旅立つ……。表題作「時間移民」のほか、宇宙からやってきた“音楽家”が国連本部前のコンサートに飛び入り参加して太陽を奏でる「歓喜の歌」、『三体』でも活躍した天才物理学者・丁儀がクォーク分割に挑む「ミクロの果て」、すべてを見通しているかのような男に警察が翻弄される銀河賞受賞作「鏡」、太陽系の果てへとひとり漂流する少女を全人類がネット経由で見守る「フィールズ・オブ・ゴールド」など全13篇を収録する、劉慈欣の傑作短篇集。
【収録作品】
時間移民
思索者
夢の海
歓喜の歌
ミクロの果て
宇宙収縮
朝(あした)に道を聞かば
共存できない二つの祝日
全帯域電波妨害
天使時代
運命

フィールズ・オブ・ゴールド

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

153
以前の短篇集を読んだ際は手塚治虫の絵で脳内に再現されたが、こちらは萩尾望都で読んでいるようだ。未来への移民を図り、命を賭けて世界の真理を知ろうと願い、遺伝子の改変を断行するなど人類は宇宙的時間的な苦難にぶつかるが、決して諦めず復活を遂げるまでのプロセスを描くには萩尾作品特有の壮大な叙事詩的筆致こそふさわしい。各作品のアイデアは長篇の素材にもなる重さだが、それが短篇として強烈に濃縮されているのだから。だが、あくまでも個人の努力と理想が展開される反面、共産党の偉大な指導者が出てこないのは著者の思いではないか。2025/01/22

榊原 香織

112
中華SF、三体の作者 SF短編集。相変わらず規模が大きい。説明ムズイのが多くてやや疲れた。 戦争物(一応SF)も書くんですね2025/01/18

keroppi

69
劉慈欣を読むと、いつもその空間的時間的なスケールの大きさに引き込まれる。今回の短編集では、芸術をテーマとして、そのスケールの大きさで描いた「夢の海」「歓喜の歌」に注目した。宇宙規模でのアートであり音楽である。「芸術は文明が存在する唯一の理由だ!」とまで言っている。他の作品を読んでも、詩的な表現もあり、劉慈欣のセンスを感じる。これで彼の短編は、すべて翻訳されたらしい。新作も書いているようで、次も読んでみたくなる。2025/02/12

藤月はな(灯れ松明の火)

58
アルタイが輝く頃に再会を誓い合った男女を描いた「思索者」。広大でありながらも終わりがある宇宙に対し、思考は無限であるという答えが導き出されるまでが抒情的だ。「夢の海」は宇宙人:低温アーティストが造った氷の彫像を如何にして海に還すかという生存の死活問題を通じて芸術への美へと昇華される。着地点は面白いけど、少し、モヤモヤしてしまう。丁儀シリーズの中の「朝に道を聞かば」の求道者とそうでないものの対比もまた、残酷な美しさを持つ。一方。「フィールズ・オブ・ゴールド」は希望は嘘である事が明かされるがその結果は優しい。2025/03/01

Sam

51
短編集。巻頭の「時間移民」。安住の地を求めて未来にタイムリープし続ける「時間移民」たちの行き着く先は…。続く「思索者」。壮大なスケールと仄かな恋愛。素晴らしい。「低温アーティスト」、「恒星奏者」、「リスク排除官」といった「何それ?」というキャラクターも新鮮。後半では、2つのストーリーが感動的に繋がる「全帯域電波妨害」、宇宙物理学の深化によってラプラスの悪魔を産み出してしまう「鏡」が印象的。「円」同様科学的知見を活用した壮大なスケールと奇想、そこに人の機微を盛り込む手捌きがお見事な作品集だった。 2025/03/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22244361
  • ご注意事項

最近チェックした商品