誰もが別れる一日

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誰もが別れる一日

  • ISBN:9784750358086

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内容説明

韓国文学界で大きな存在感を放つ作家ソ・ユミによる小説6編をまとめた待望の短編集。6作品の主人公たちは貧困、失業、借金、離婚、夫の失踪、身近な死、母親との別れなどを経験し、以前とは違う状態に移る瞬間を経験する。変化は不可逆的で、人生は過去の自分との別れの蓄積だ。誰にでも訪れる不安と危機の断面を解剖し、時代と社会の病を敏感に捉え平凡な人間群像を暖かく包み込む、篤実なリアリズム小説

目次

エートル
犬の日々
休暇
後ろ姿の発見
その後の人生
変わっていく
解説 ついに立ち上がる人々
作家のことば
訳者あとがきⅠ
訳者あとがきⅡ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふじさん

77
6作の主人公たちは、貧困、失業、借金、離婚、夫の失踪、身近な人々の死、母親との別れ等を経験し、以前とは違う状況に戸惑い、喘ぎ苦しみ、抜け出せない現実に向き合うことになる。誰にでも訪れる社会の危機や不安の断面を日常の次元で解剖し、今の時代と社会の闇を敏感に捉え、そこに生きる普通の人々の人生を温かい目線で描いたリアリズム小説。韓国の現代小説ではあるが、語られている現実は日本と同じで、読んでいて違和感がない。どうしようない現実が語られているが、わずかな解放の光がみえるのが救いだ。2025/03/13

ケイティ

30
韓国らしいテイストの短編集。「普通の人々の平凡でどうでもいいと考えていた、だが歪んでしまった一日を描いた」とのことで、誰もが当たり前のように絶望を纏って、淡々と毎日を押し進めるリアリティが絶妙。前に読んだ長編作が良かった印象だが、短編だと逃げ場がなく息が詰まる感覚がより際立つ。やるせなさを持て余しながらも、その振り幅は自分次第でもあると同時に思う。「希望でも挫折でもなく肯定でも否定でもない。そうやって流れていく生の瞬間を描きたい」という著者の言葉通りの作品。2024/12/15

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

29
主にソウルの人々の短編集。非正規やバイトで必死に家賃を払いながら、貧しい生活をする若い女性や、学業を続けられず詐欺の下働きの様な事をしてその日の食い扶持を稼ぐ青年や、旅先で夫が行方不明となり仕事をしながら探す妻など、詰んでしまった生活で茫然としながら生きる人の話が多い。妻と離婚してサウナで暮らす人たちもいて、彼らはどこで間違ってしまったか、自分でもわからない。どの人も自分が悪い事をしたように、誰にも相談しないで耐える様に生活している。多分、日本にも似た人たちがたくさんいると思う。2025/04/22

かおりん

24
書評から気になって借りた本。一般市民の不安や問題意識を丁寧に扱った短編集。国民性もあるのか、息詰まる感じで疲れた人が多くて読んでてしんどかった。歪んでしまった1日を描いたというのがぴったり。解説と訳者あとがきで「そうだったのか」とよく分かった。2024/11/24

ヘジン

11
どれも不穏で心がヒリヒリして、でも救いがないわけではなく、主人公の人生は続いていく。静かな筆致で、とくに落ちはない話も多い。最近、技巧的なストーリーの小説を続けて読んだあとに対照的なこの短編集を読んで、こういう話が好きだなと思った。夫が突然いなくなるけれど、事故に遭ったのか自ら失踪したのかわからない『後ろ姿の発見』が印象的だった。心中お察しします。2025/05/24

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